1. 老人ホーム相談プラザトップ
  2. お知らせ
  3. 抗原と抗体について
2024.07.23
相談員ブログ

抗原と抗体について

【抗原・抗体とは】
抗原とは、感染症における病原体(細菌やウイルス)など、身体にとって異物のことを言います。
抗原になるものは病原体に限らず、花粉症の人にとっての花粉など、身体に入った際に免疫反応を引き起こす物質の総称を抗原と呼びます。
これに対して、抗体はその異物を無毒化したり排出するために、身体にある免疫機能が作り出す物質です。
体内には異物が侵入した場合に、その異物に合う抗体を作ることができる免疫機能が備わっていて、抗体が異物に結合することで無毒化されます。
混同されがちな、「抗原検査と抗体検査の違い」についてと、老人ホームに入居する際に提出が求められる診療情報提供書の項目にある、「HBs抗原とHCV抗体」についてまとめてみました。

【抗原検査と抗体検査の違い】
[抗原検査]
検査したい病原体の抗原を使い、病原体が持つ特有の抗原を検出する検査方法です。
抗原検査には細菌やウイルスそのものを分離、培養して検出する方法がありますが、この方法は時間がかかるうえ、病原体を厳格に管理する検査室が必要になります。
そこで一般的に用いられるものとして、簡易キットによる検査方法があります。
この検査は抗原に反応する抗体の原理を利用して、人工的に作成した抗体に抗原が反応したかどうかにより抗原の存在を調べる方法です。

[抗体検査]
該当する病原体にかつて感染していたかを調べる検査です。
病原体に感染するとその病原体に結合する抗体が作られますが、血液の中にその抗体が存在するかを調べます。
ワクチン接種した場合にも抗体は作られるため、ワクチン接種歴なども調べておく必要があります。

わかりやすくまとめると、抗原検査は今現在の感染を、抗体検査は過去の感染を調べる検査です。

【HBs抗原とは】
B型肝炎ウイルス(HBV)は血液や体液を媒介してB型肝炎を起こすウイルスです。
B型肝炎は他のウイルスと異なり、血液中にウイルスの産生物であるHBs抗原が存在するために、HBs抗原の量を推定することで感染の有無を判断します。
このHBs抗原が陽性(+)の場合はB型ウイルスに感染していることを示します。
陽性の場合、自覚症状が無いB型肝炎ウイルス保有者、B型急性肝炎、B型慢性肝炎、B型肝硬変などが考えられます。

【HCV抗体とは】
本来は病原体の存在は抗原検査で確認しますが、C型肝炎ウイルス(HCV)は抗原検査ができない性質になっているために、抗体検査を行います。
C型肝炎ウイルスに感染すると、体内ではHCV抗体が作られます。
通常だと抗体があることは治癒したことを意味します。
しかしながら、HCV抗体が陽性(+)という結果は、現在も感染状態にあることを示す場合と、既に治った場合と両方を示します。
抗体陽性者の3~4割は過去の感染歴をあらわしているのですが、現在ウイルスが存在するかは、更にHCV-RNA検査を行い確認します。
C型肝炎になると、高い割合で慢性肝炎に移行してしまいます。そして、肝硬変や肝がんに進行することがあるため、早めの治療が必要です。
  1. 老人ホーム相談プラザトップ
  2. お知らせ
  3. 抗原と抗体について
お気軽に相談員にお尋ねください