2024.07.24
相談員ブログ
高齢者と足白癬(水虫)について
【白癬とは】日本皮膚学会の調査では、全国の足白癬患者数は人口の約21.6%、爪白癬患者数は10%と推計されています。
白癬とは、カビ(真菌)の一種である白癬菌が皮膚に感染することで生じる病気です。
白癬は足にできると足白癬(一般名称は水虫)と呼ばれ、股にできるといんきんたむし、体にできるとぜにたむしと呼ばれます。
頭にできると毛が抜ける頭部白癬、爪にできると分厚く白く濁る爪白癬があります。
白癬菌の栄養源は人間の角質です。
角質が脱落したものである垢が床に落ちると、そこに白癬菌が集まります。
足白癬は白癬菌がいる床などを裸足で歩き、足底や足の指の間に付着することが原因で発生します。
【高齢者と足の爪白癬】
足の爪白癬は高齢者に多く、60歳以上の4人に1人が罹患しているという調査もあります。
身体をかがめにくくなっていたり、目に見えにくかったりすることで、足の爪の手入れを十分にできないことが要因として挙げられます。
また、爪の伸びが遅くなっていたり、爪には神経が通っていないために異常を感知していなかったりすることも原因として考えられます。
高齢者は免疫力や抵抗力が低下していることもあり、一度爪白癬になるとなかなか治癒しないケースが多くなっています。
人の皮膚は約28日周期で新しい皮膚になるのですが、加齢とともに新陳代謝が落ちて、この周期も長くなっていきます。
そのために、治療するのに時間がかかるようになり、足白癬が爪にまでおよび爪白癬になってしまう人が多くいるのです。
【足白癬のもたらすリスク】
・転倒リスクの増加
爪白癬は水虫を放置したことで発生することが多く、治癒しにくい厄介な病気です。
爪の表面は硬いので、軟膏などを塗布しても白癬菌まで届きにくく効き目が少ないため内服液で治療します。
爪白癬の治療過程で爪がもろくなったり剥離してしまうことがしばしばありますが、そうなると足の踏ん張りがきかず、歩行障害や転倒リスクが増加してしまいます。
・糖尿病への影響
糖尿病の人は血糖コントロールが悪化すると血管障害が生じて、血流が悪い状態になります。
特に足先には十分な栄養や酸素が届きにくくなっていて、小さな傷であっても化膿したり壊疽になったりします。
足白癬になると皮膚のバリア機能が損なわれるために細菌感染が起こりやすくなるので、糖尿病が進行している人は注意が必要です。
【予防対策】
白癬菌は湿度70%、温度15℃以上になると活発に増殖するので、そのことを念頭に以下のことに注意しましょう。
・清潔と乾燥
白癬菌が増殖する環境を減らすために、こまめに入浴や足浴をしたり、足の指の間をティッシュなどで拭いて乾燥させましょう。
・通気性の良い靴や靴下にする
汗をかいても湿った状態を作らない靴や靴下に履き替えましょう。
・足に触れる物を共有しない
複数の人が素足で利用するプールや共同浴場などでのバスマットは白癬菌の温床です。
家庭内であっても、足白癬の人がいる場合はタオルやバスマットは共有しないようにしましょう。
爪切りやスリッパなども、その人専用のものを使用しましょう。
・バスマットやタオルは日干しする
白癬菌はカビですので、紫外線に弱いため日干しすることで滅菌効果があります。
また、白癬菌は50℃以上の環境では死滅するので、乾燥機を利用することも有効です。
・こまめに掃除をする
水虫になると皮膚がはがれやすくなります。
はがれた皮膚にいる白癬菌は感染力があるので、はがれた皮膚を吸い取るために、こまめに掃除がをすることが必要です。