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2024.08.09
相談員ブログ

弄便について

【弄便とは】
弄便とは認知症の周辺症状(BPSD)の一つです。
自分の便を素手で触ってこね回したり、衣服や身のまわりの物などにこすりつけてしまったりします。
あるいは、便とは認識できずに食べ物と思って口に含んだりしてしまうこともあります。
介護者にとってその光景はショッキングな出来事でありますが、本人には故意や悪意があるわけではなく、何らかの理由があっての行動ですので、むやみに叱らずに対応するように心がけなければなりません。
弄便は繰り返されることが多く、後片付けに手間もかかるため、ストレスのかかるものです。
介護者はその原因や適切な対応や予防策を知ることが大切です。

【弄便の原因】
・不快感
オムツ内で排便をしてしまった場合、不快感からオムツ内の便に触れることがあります。
便をいじった手の汚れを拭き取ろうとして、衣服や寝具、カーテンや壁などで拭き取ろうとします。

・自分で処理しようとする
オムツ内で排便した後、自分で処理しようとして直接便に触れてしまうことがあります。
自分で処理しようとするものの、上手くできずにオムツを破ったり、汚れた手で周りを触ってしまいます。

・便と認識できない
排便感覚が低下している場合、便を便と認識できていないため、手で取り出してこねてしまうことがあります。
便の感触や色があんこやおはぎに似ていることから、口の中に入れてしまう人もいます。

・羞恥心
便失禁したことが恥ずかしく、人に知られないように処理し、隠そうとしたりして便に触れてしまうことがあります。

・排便感覚の低下
加齢に伴い腸の機能も低下して、下痢や便秘などの排便異常が起こる場合があります。
特に下剤を服用していると、排便感覚が鈍って自分が排便したことがわからなくなってしまう場合もあります。
そこに便を不潔な物と理解できない認知障害が加わり、弄便行為をしてしまうことがあるのです。

【弄便の対応方法】
・叱らないように心がける
本人にとっては何らかの原因があっての行為であるので、叱られても行動を改めることはできません。
しかも、叱られた相手に対する恐怖心や不快感は残るので、それが介護拒否となり介護負担が増すことにもつながりかねません。
叱ったり責めたりと感情的にならずに、落ち着いて対応しましょう。

・手の汚れをぬぐってお風呂場で洗い流す
まずは本人が持っている便の処理を行い、手をきれいに拭き取ります。
汚れたままにしていると、あちこち触ってしまって汚れが拡がる恐れがあります。
それから風呂場へ誘導して、弄便の原因である違和感や不快感を早く取り除くために、お尻などに付着した汚れを洗い流します。
不快感の軽減ももちろんのこと、感染症予防の観点からもなるべく早く処理するようにします。

【弄便の予防対策】
・トイレでの排泄を誘導する
便をもよおしているサインを見逃さないようにします。
そわそわしたり、歩き回ったりして落ち着きを失っていたりするサインを捉えて、トイレ誘導をします。
また、日頃から排便時間を記録することで、排便サイクルを把握して、その時間が近づいたら声掛けをして排便を促します。

・オムツをこまめに確認、交換する
弄便行為はトイレを利用している人よりもオムツ利用者の方が多く見られると言われています。
排泄リズムや排泄前のサインを把握して、こまめにオムツを確認したりしながら、便で不快に感じる前に早めにオムツを交換するようにします。

・自然排便を目指す
なるべく下剤などは服用せず、消化に良いものや水分補給をしっかりして、自然に排便できるようにします。
腸の働きをよくするために、マッサージやストレッチ、運動を行うことも自然排便につながります。

・皮膚を保護して不快感を軽減する
オムツ対応になっている方は、臀部の皮膚が荒れやすくなる傾向があります。
皮膚荒れはかゆみや不快感を誘発するので、弄便につながる可能性があります。
皮膚が荒れている場合は、薬を塗布するなどして皮膚を保護することも必要です。

・便に触れられないようにする
便に触れることができないようにミトンやつなぎ服を着せるということも弄便対策としてはあります。
しかし、この方法は身体拘束になるので、様々な対策をしても全く改善されないときの最終手段となります。
虐待と見なされてしまう場合もあるので、最大限に慎重に判断するようにします。
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