2024.10.24
相談員ブログ
「がん」や「癌」などについて
【「がん」の表記や呼び名の違いについて】がんはすべての臓器や組織に発生する可能性があります。
がんは
①上皮細胞(体や体腔、臓器などの表面を覆う細胞)に発生する「癌」
②非上皮細胞に発生する「肉腫」
③造血器やリンパ系に発生する「血液腫瘍」
④上皮内新生物(遺伝子に傷がついた異常な細胞のうち、身体の表面を覆う上皮内にとどまっている状態のもの)
に大別されます。
がん細胞が成長して増殖すると、がん組織の塊りとなり「悪性腫瘍」と呼ばれるものになります。
ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を示すときに用いられ、上皮細胞にできる癌に限定する時は漢字の「癌」と表現することが多いようです。
しかしながら、「癌」の字が難しかったり、重苦しい印象を与えてしまうため、「がん」と表記することが多くなってきているようです。
因みに、がんは悪性新生物とも呼ばれます。
【がんの種類】
①上皮細胞に発生する「癌」
上皮細胞は身体の表面や体内の臓器を覆っている細胞のことで、身体の外部(鼻、口、肛門、尿道など)とつながっているため、消化器や肝臓、膵臓も上皮組織に含まれます。
これらの上皮細胞がガンになると、漢字の「癌」と表記することが多いです。
例:皮膚癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、大腸癌、胃癌、咽頭癌など
②非上皮細胞に発生する「肉腫」
身体の外部とつながっていない骨や筋肉がガンになると「肉腫」と呼ばれます。
例:骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、平滑肉腫、血管肉腫など
③造血器やリンパ系に発生する「血液腫瘍」
血液細胞もガンになりますが、造血器で血液細胞がつくられる過程でガン化することがあります。
例:白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など
④上皮内新生物
上皮内新生物(上皮内がん・上皮内腫瘍)とは、臓器の外側にある上皮細胞の内部にできた「できもの(新生物)」のことです。
上皮内新生物は、「がんの芽」とも言える状態で、早期に発見できれば切除手術で完治が見込まれます。
しかしながら、上皮内新生物が臓器内の粘膜筋板を超えて浸潤してしまうと、悪性新生物と見なされます。
例:子宮頸部の高度異形成、皮膚のボーエン病
【悪性腫瘍と良性腫瘍】
正常な細胞が分裂する時に、偶然、遺伝子が傷つくことが生じることがあります。
この傷を「変異」と言いますが、遺伝子の変異によって無秩序に増殖した細胞の塊りを「腫瘍」と呼びます。
腫瘍は悪性腫瘍と良性腫瘍の2つに大別されます。
悪性腫瘍は、細胞が周囲にしみこむように広がったり(浸潤)、血管などを介してあちこちに新しい塊りを作ったり(転移)、周りの組織を押しのけて大きくなります(自立性増殖)。
また、他の正常組織が摂取しようとする栄養を奪い、身体の衰弱を生じさせます(悪液質)。
悪性腫瘍を「がん」ともいいます。
悪性腫瘍は放置していると全身に広がり、悪影響を人体にもたらすので、治療が必要となります。
一方、増殖はするものの、「浸潤」や「転移」、「悪液質」をしない腫瘍を良性腫瘍と言います。
良性腫瘍は人体に危険を及ぼさないものもあります。
腫瘍のできた場所や大きさ、種類などを考慮して手術する場合もあり、完全に取り除くことができれば再発の可能性はありません。
子宮筋腫、卵巣嚢腫、皮様嚢腫などは良性腫瘍ですが、脳腫瘍のように重篤な良性腫瘍もあります。