2024.12.10
相談員ブログ
自律神経失調症について
【自律神経、自律神経失調症とは】「自律神経」とは、その名の通り、身体が自律的に働くための神経です。
自律神経は、自分の意思とは関係なく、生命活動を持続するために24時間365日、休むことなく働いています。
具体的には、呼吸、血液循環、体温調整、消化、排泄、免疫など、生命を維持するためのあらゆる機能に関係しています。
自律神経は活動時に活性化する「交感神経」と、安静時に活性化する「副交感神経」で構成されています。
この2つが必要に応じて切り替わることで、身体的・精神的バランスが保たれています。
「自律神経失調症」はこの切り替えが上手くいかない状態を指します。
自律神経失調症は特定の病名ではなく、自律神経の乱れによる心身の不調の総称です。
発症する原因としては、精神的なストレスや、季節の変わり目に伴う温度や湿度の変化、睡眠不足、不規則な生活、食生活の乱れ、さらには薬の副作用などがあげられます。
【「交感神経」と「副交感神経」について】
交感神経は活動や緊張、興奮に関連し、身体にとって‘アクセル’のような役割を果たします。
交感神経は主に日中に優位となり、脈拍を速める、血圧を上げる、筋肉を緊張させるなどして、心身の活動を促します。
これとは逆の働きをするのが副交感神経で、身体を休息させたり落ち着かせる‘ブレーキ’のような役割を果たします。
副交感神経は、主に夜間に優位となり、脈拍や血圧を下げてリラックスさせ、筋肉を緩めて疲労回復を促します。
また、副交感神経は胃腸を活発化させて消化を促進し、免疫力を高める作用もあります。
交感神経と副交感神経は、基本的にほぼ全身に分布する自律神経の一部であり、2つの神経が交互に働くことで身体の調整が行われています。
つまり、心身ともに良いコンディションを保つためには、交感神経と副交感神経のバランスを整えることが重要です。
【自律神経失調症の症状】
・肉体的症状
自律神経は、全身の臓器や器官を司っているため、そのバランスが崩れるとさまざまな症状が現れます。
具体的には、倦怠感、動悸、のぼせ、肩こり、めまい、冷え、頭痛、喉の詰まり感、便秘、下痢、生理不順、発汗、食欲不振などが挙げられます。
これらの症状は体調不良から始まり、放置していると悪化の一途をたどり、仕事や日常生活に支障を来す場合があります。
・精神的症状
自律神経は情動と密接に関連しているため、自律神経失調症になると情緒が不安定なることがあります。
イライラや不安感、焦燥感、疎外感、感情の起伏が激しくなるなどの症状が見られることがあります。また、不眠を招いたり、記憶力や集中力、意欲の低下なども生じることがあります。
これらの症状が進行すると、うつ病へと移行する場合があるため、早期発見と対処が重要です。
【自律神経失調症の種類】
・本態性型自律神経失調症
生来の体質により自律神経のバランスが乱れやすいタイプです。
体質的に自律神経の調節機能が乱れやすく、低血圧や虚弱体質、体力に自信がない人などに多い傾向があります。
・神経症型自律神経失調症
心理的要因によって生じるタイプです。
身体の不調に敏感で感受性が強く、クヨクヨしがちな神経過敏の人に多くみられます。
感情の変化が身体的な症状として現れることもあります。
・心身症型自律神経失調症
日常生活において、仕事や人間関係などのストレスを抱え込むことによって生じるタイプです。
几帳面で責任感が強い人に多い傾向があります。
自律神経失調症の約半数がこのタイプにあてはまります。
肉体的症状や精神的症状がともに見られ、生真面目な人がなりやすいと考えられています。
・抗うつ型自律神経失調症
慢性的なストレスの蓄積によるうつ症状から生じるタイプです。
うつ病の症状に似ていて、やる気が出ない、気持ちが落ち込むなどの精神状態になります。
肉体的には、頭痛や倦怠感、食欲不振、不眠といった症状が現れます。
【加齢と自律神経】
自律神経の働きは年齢を重ねるごとに低下し続け、さまざまな機能が衰えていきます。
体温を調節する機能も加齢とともに低下するため、季節の変わり目に生じる気圧や気温の差によって、不調を来たす高齢者が多くみられます。
また、睡眠時に副交感神経がうまく働かないことによって、睡眠の質が低下し自律神経のバランスを崩してしまう傾向があります。
一人暮らしで食生活が乱れたり、不規則な生活リズムによって、自律神経に悪影響を及ぼすこともあります。
自律神経の乱れが悪化すると認知機能の低下を招き、認知症の発症を促すことにもなるため、注意が必要です。