2024.12.12
相談員ブログ
初老期における認知症について
【若年性認知症とは】認知症の多くは加齢とともに現れることが多いのですが、若い年代でも認知症と診断されることがあります。
認知症は発症した時期によって以下のように分類されます。
・65歳以上で発症→老年期認知症
・40歳~64歳で発症→初老期認知症
・18歳~39歳で発症→若年期認知症
「若年性認知症」は、若年期認知症と初老期認知症の両方を含んだ総称になります。
令和2年3月に公表された調査結果によると、若年性認知症と診断された人は計3.57万人です。
50歳からの有病率が高くなり、特に55歳~64歳が多くなっています。
原因別ではアルツハイマー型認知症が52.6%、次いで血管性認知症が17.1%、前頭側頭型認知症が9.4%となっています。
社会的・生物学的要因から、女性よりも男性の方が2倍程度多いとされています。
【若年性認知症の特徴】
若年性認知症は老年期認知症と症状は大きく変わりません。
しかしながら若い年齢で発症することでさまざまな特徴が生じます。
・診断されにくい
初期段階において性格変化や言葉が出にくいことなどの症状から、うつ症状や精神的ストレス、更年期障害などと混合されやすく、経過観察や専門的な診断技術が必要となります。
・病気が理解されていない
若年性認知症は一般的に未だよく知られていないため、誤解や偏見を持たれてしまうことが多くあります。
放置したり、気付かれないように隠すなど誤った対応をしてしまうこともあります。
・経済的に困窮してしまう
これまでのように仕事を継続できずに収入が減少したり、失職してしまうこともあります
生活費や教育費、治療費に困窮する場合も少なからずあるため、家族の生活にも大きな影響を及ぼしてしまうことがあります。
・精神的ダメージが大きい
若年性認知症と診断されると、そのショックから現実を受け止めきれず、不安や焦燥感にかられることが多々あります。
また、家族や周囲の人たちに、介護疲れや精神的な負担を与えることがあります。
・家庭内での問題が多い
夫婦間の問題、子どもの養育や教育、結婚など、親として最も必要とされる時期に認知症になると、家族の負担や不和など少なからず生じてしまいます。
また、高齢の親が介護者になることもありますし、子ども世代がヤングケアラーと呼ばれる介護者となってしまうケースもあります。
【若年性認知症発症後の平均寿命について】
若年性認知症で特筆すべき点は、症状の進行が早いことです。
もし40代で発症すると、高齢者の2倍以上の速さで症状が進行すると考えられています。
そのためには、早期発見と早期治療に着手することが重要です。
現時点において認知症を完治するのは不可能ですが、進行を抑制することは可能なので、少しでも現状維持や寿命を延ばすためにも、適切に対処する必要があります。
寿命に関しては、若年性アルツハイマー型認知症は約10~15年とされています。
若年性認知症全般の中では長めとされますが、若年性前頭側頭型認知症は約7~10年、若年性レビー小体型認知症は約5~7年が平均寿命といわれています。
【若年性認知症のサポート制度について】
・自立支援医療制度
医療機関や薬局で支払う医療費(デイケア、訪問看護なども含む)の自己負担が1割に軽減される場合があります。
・障害者手帳
認知症による精神疾患をきたす場合は精神障害者保険福祉手帳、血管性認知症やレビー小体型認知症などで身体障害がある場合は身体障害者手帳を申請できます。
手帳の交付により所得税や自動車税の税金の控除や免除、公共交通料金や施設料金の割引などを利用できます。
・障害年金
加入している年金の種別に応じて、障害基礎年金、障害厚生(共済)年金などが支給される場合があります。
・介護保険
40歳以上であれば、介護保険の特定疾病の1つとして「初老期における認知症」が認められているため、給付の対象となります。
介護サービスも、福祉用具のレンタルや住宅リフォームも活用できます。
・特別障害者手当
精神または身体に著しく重度の障害をもつ20歳以上の人で、日常生活に特別の介護を必要とする場合に支給されます。
・住宅ローン返済
加入している保険の種類にもよりますが、若年性認知症の症状が高度障害状態と認定されている場合は、返済が免除されることがあります。
・日常生活自立支援事業
判断力が低下しても、自立した生活を過ごせるように福祉サービスの利用援助や金銭管理などを地域でサポートします。