1. 老人ホーム相談プラザトップ
  2. お知らせ
  3. 歯周病について
2025.01.30
相談員ブログ

歯周病について

【歯周病とは】
歯周病は初期の段階ではほとんど自覚症状が無く、認識していないまま進行していく病気です。
「サイレントデイジーズ(静かな病気)」とも言われ、気付いた時には重症化して手遅れになることもあります。
歯周病は、日本人成人の約80%が罹患していると推計されており(厚生労働省による平成23年歯科疾患実態調査)、日本人が歯を失う原因の第一位になります。
歯磨きが行き届いていないと、「歯垢」という細菌が歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)に溜まります。
歯周病はこの細菌が繁殖して発生する感染症で、人類史上最も感染者数が多い感染症としてギネス記録に認定されています。
歯周病は以下のように2段階で進行します。

①歯肉炎
歯周病は「歯肉炎」から始まります。
歯肉炎の段階では、歯周ポケットはあまり深くはなく、歯茎が赤く腫れたり出血が見られます。
蓄積された歯垢は石灰化して、歯に粘着した状態で「歯石」になります。
歯石は歯磨きでは取り除けず、歯周病悪化の原因になります。

②歯周炎(歯槽膿漏)
次に「歯周炎」に移行します。
歯周炎の段階では歯周ポケットが深くなり、歯茎がやせたり、歯茎から膿が出て口臭がきつくなったりします。
さらに進行すると、歯が抜け落ちてしまいます。

【歯周病の全身への影響】
歯周病は歯を失うリスクだけでなく、全身の健康を損なう原因となります。
その一つが「菌血症」です。菌血症は歯周病菌が粘膜の傷などから血管内に侵入し、血液を介して菌と毒素が体内をめぐり、臓器にダメージを与えます。
全身に歯周病菌がまわると下記のような障害を引き起こします。

・血管への影響
動脈硬化の進行や血管に障害を与えます。

・膵臓のインスリンの働きへの影響
歯周病による炎症で生じる物質がインスリンの機能を低下させ、糖尿病を悪化させることがあります。

・心臓の血管に影響
狭心症や心筋梗塞の発症を誘引することがあり、細菌性心内膜炎の原因になることもあります。

・脳の血管に影響
脳梗塞の発症を引き起こすことがあります。

・誤嚥性肺炎の発症
食物が食道ではなく肺に入る際に、歯周病菌が一緒に入り込むことで肺炎を引き起こします。

・早産による低体重児出産
歯周菌が胎盤を刺激し、胎児の成長に影響を与えると考えられています。

【高齢者と歯周病】
歯周病を患う高齢者は、歯茎の腫れや痛みから食事量が減り、固い食材を避けがちになり、栄養の偏りや栄養不足に陥ってしまうことがあります。
また、口臭を気にすることで、人と会って会話をすることをためらうようになります。
そのことで社会とのつながりが薄れ、意欲の低下を招き、心身の虚弱状態を招いてしまうこともあるので注意が必要です。
高齢者における歯周病には、下記のような特徴があります。

・進行の速さ
高齢者は免疫力が低下しているため、歯周病が進行しやすくなります。
初期段階での発見が遅れると、短期間で重症化することがあります。

・歯茎の退縮
年齢とともに歯茎が退縮しやすくなり、歯根が露出することで細菌感染が進行しやすくなります。

・口腔乾燥症
高齢者は唾液の分泌が減少するため、口腔内が乾燥しやすくなります。
これにより細菌の繁殖が進み、歯周病リスクが高まります。

・認知症への影響
歯周病菌はアミロイドβを増加させる可能性がありますが、アミロイドβの増加は認知症のきっかけになることがあります。
また、歯周病による口腔機能の低下により咀嚼する時間が減少し、脳への刺激が減少します。

【歯周病の対策】
①正しい歯磨きの習慣化
歯周菌のすみかとなる歯垢を除去するために、歯周病に対して薬理効果のある歯磨き剤などを使用し、正しい歯磨きとデンタルフロスや歯間ブラシを習慣化します。

②歯石の除去
歯垢は正しい歯磨きで除去できますが、歯石は歯科でのクリーニング治療が必要です。

③唾液分泌の促進
口腔乾燥症を予防するために、水分をこまめに摂ることや、無糖ガムを噛むことで、唾液の分泌を促進します。

④食べ物を口に入れている時間や頻度を少なくする
三度の食事以外に、おやつを頻繁に食べたり、口の中に食べ物が長時間入っていると、歯周病の発症や悪化につながります。
砂糖を多く含有している飲料を長時間かけて飲んだり、飴をなめ続ける習慣ががある人は、それを減らすように心がけましょう。

⑤定期的な歯科受診
少なくとも年に1~2回は歯科医院を受診しましょう。
日頃の歯磨きの仕方や噛み合わせ、口腔粘膜の状態も確認することで、歯周病を予防しましょう。
  1. 老人ホーム相談プラザトップ
  2. お知らせ
  3. 歯周病について
お気軽に相談員にお尋ねください