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2025.02.03
相談員ブログ

認知症と易怒性について

【認知症と易怒性の関係】
今まで穏やかな性格だった人が高齢になり、些細なことで「急に不機嫌になる」「大声をあげて威嚇する」「殴りかかろうとする」という行動が見られたりします。
また、妄想や勘違い、思い込みによって怒る等、周囲が対応に困るような状況が生じることもあります。
以前と比べて怒りっぽくなる症状は、認知症の初期症状のひとつであり、医学用語では「易怒性(いどせい)」と呼ばれます。
この症状は、認知症の中でも特にアルツハイマー型認知症の周辺症状としてよく見られます。

【認知症と怒りっぽい性格の見極め】
もともと短気な人や、環境的なストレスから怒りっぽくなる高齢者もいます。
そのため、一概に易怒性を認知症のせいにすることはできません。
性格的なものか、認知症に起因するものかを見極めるために、以下のポイントを確認しましょう。

[今まで怒りっぽい性格だったか]
もとから短気だった場合は判断が難しいですが、これまであまり怒らなかった人が急に怒りっぽくなった場合は、認知症を疑います。
認知症を発症したばかりの人は、今までできていたことができなくなる不安や自信喪失を隠そうとして、怒りやすくなることがあります。
また、自分のミスを他人に責任転嫁して怒る傾向もあるため、注意して対応する必要があります。

[外出先でも怒るようになったか]
外出先などで周囲を気にせず怒るようになった場合は、認知症の疑いがあります。
通常、自制心が働く場面でも見境なく怒ってしまうのは、感情を司る前頭葉が萎縮している可能性があります。

[他に認知症の症状が出ていないか]
怒りっぽくなったという変化のほかにも、以下のような認知症の症状が見られるかを確認しましょう。
・物忘れ
・理解力・判断力の低下
・集中力・注意力の低下
・趣味嗜好・性格の変化
上記の症状が見られる場合は、認知症を発症している可能性があります。

【認知症による易怒性の原因】
・感情の制御ができなくなる
認知症になると、状況判断や対応が難しくなる「認知機能障害」が現れます。
そのため、現状を正しく理解できずイライラしやすくなります。
また、易怒性が現れる原因の一つとして、前頭葉の機能低下による感情の制御の困難さが挙げられます。
前頭葉は情動や感情の中心的役割を担う「大脳辺緑系」の活動をコントロールしています。
この機能が弱まることで、怒りを周囲の人にぶつけてしまうようになります。

・体調不良による不快感
認知症の人は体調不良を認識しづらいうえに、そのことを周囲の人に伝えることが難しい状態になっていることがあります。
このような体調不良や身体の不快感が、イライラや怒りへとつながっていきます。

・周囲の状況を理解することが困難になる
認知症の症状には「見当識障害」があり、時間や場所、自分が置かれている状況などがわからなくなることがあります。
この状態から生じる不安や焦りが、怒りとして現われることがあります。

・プライドが傷つけられる
認知症の初期段階では、これまで普通にできたことができなくなった現実を自覚することがあります。
これによりプライドが傷つき、自分の状況を受け入れられず、怒りを周囲にぶつけてしまう場合があります。

・薬の副作用
抗認知症薬には薬の副作用や飲み合わせによっては、興奮や不穏、せん妄といった症状が現れることがあります。
内服薬による副作用が原因と考えられる場合は、担当医や薬剤師に相談することが重要です。

【認知症による易怒性への対応方法】
・共感して寄り添う
まずは本人の言い分を聞いて共感することが大切です。
認知症の方は、自分が何に対して怒っているのか分っていない場合もあります。
否定したり注意すると、かえって怒りが増すことがあるため、相手に寄り添う姿勢を心掛けましょう。

・怒りの原因を一緒に考える
認知症の方は、自分の意思や気持ちをうまく表現できない場合があります。
何に対してイライラしているのかをじっくり傾聴して、その原因を一緒に考えることが重要です。

・距離をとる
話を聞いても気持ちが落ち着かず、暴言や暴力に発展してしまう場合は、本人が落ち着くまで様子を見ることも大切です。
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