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2025.06.23
相談員ブログ

高齢者と生活保護について

日本では少子高齢化が進行し、高齢者の単身世帯や無年金・低年金世帯が増加しています。その影響で、生活保護を受ける高齢者も年々増加しており、生活保護制度は高齢者にとって「最後のセーフティネット」として重要な役割を担っています。

【高齢者が生活保護を受ける背景】
高齢者が生活に困窮する背景には、さまざまな要因があります。中でも深刻なのが年金収入の不足です。国民年金のみを受給している人や、十分な保険料を納めてこなかった人は、月数万円程度の年金しか得られず、日常生活費や家賃をまかなうには不十分です。貯金が尽きたり、住まいを失うリスクも高まります。
また、家族からの支援を期待できないケースも少なくありません。未婚・死別・離別により独居となっていたり、子どもがいても別居している、あるいは子ども自身が経済的に困窮している場合もあります。さらに、高齢による病気や障がいで就労が困難になり、医療費や介護費の負担が重くのしかかることもあります。

【生活保護を受給できる条件】
以下のような条件を満たす場合、生活保護を受給できる可能性があります。
・世帯収入が最低生活費を下回っていること
最低生活費は年齢や地域(級地)、世帯人数、障がいの有無・母子世帯や児童の有無などに応じて算出されます。
・親族からの援助を受けられないこと
法律により親族(扶養義務者)からの支援は生活保護よりも優先されます。そのため、申請時には親族に対し、援助の可否について照会が行われます。
・病気やけがなどにより働けないこと
申請前に傷病手当・失業保険・労災保険・年金・生活福祉資金など、他の制度の利用や併用が求められます。なお、働いていても収入が最低生活費を下回っている場合には、受給が認められる可能性があります。
・不動産や車などの資産を所有していないこと
原則として資産は売却し、生活費に充てる必要があります。申請時点で預貯金が最低生活費を上回っている場合、受給は難しくなります。ただし、居住用住宅や生活に必要不可欠な車両など、一部の資産については例外的に保有が認めれれる場合もあります。詳細は福祉事務所に相談しましょう。

【申請から受給までの流れ】
生活保護の申請は、住民登録のある市区町村の福祉事務所で行います。まず窓口で相談し、その後に申請書類を提出します。申請後、保護の必要性や金額について調査が行われ、支給の可否が決定されます。
申請日から14日以内(調査が長引く場合でも30日以内)に結果が通知されます。

【生活保護制度の内容】
生活保護は、憲法第25条にある「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に基づく公的支援です。年齢やこれまでの就労状況に関係なく、現在の生活状況に応じて支給の要否が判断されます。
生活保護は「世帯単位」で支給されるのが原則です。そのため、申請者本人が無収入であっても、同居している家族に十分な収入がある場合は生活保護が認められません。
主な扶助内容は以下のとおりです。
・生活扶助:食費・衣料費・水道光熱費などの日常生活費
・住宅扶助:家賃、契約更新料、保証料など住居にかかる費用
・医療扶助(※現物支給):診療費、入院費、薬代など
・介護扶助(※現物支給):介護保険サービスの自己負担分など
・その他の扶助:教育、出産、生業(仕事に必要な費用)、葬祭など
※「現物支給」とは、福祉事務所が医療機関や介護サービス提供事業者に直接費用を支払う方式を指します。

【年金と生活保護の関係】
年金を受給していても、生活保護の対象外になるとは限りません。生活保護は「足りない分」を補う制度であり、たとえば年金収入が月5万円、生活保護の基準が12万円の場合、差額の7万円が支給される仕組みです。
高齢者が健康で安心して暮らすためには、年金制度だけせはなく、生活保護制度の活用も視野に入れることが重要です。制度に対する誤解や偏見から支援を受けられない高齢者も少なくありません。周囲の支援者や行政、家族が連携し、必要な支援が行き届く体制づくりが求められています。
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