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2026.04.07
相談員ブログ

【別表7・8について第1回】介護保険の「枠」が足りないと感じたら

【避けては通れない「介護保険の支給限度額」という課題】
在宅での介護生活が始まると、多くの方が最初に直面するのが「介護保険の支給限度額」という課題です。介護保険では、要介護度に応じて、ひと月に利用できるサービスの総額に上限が定められています。「点数」という言葉で耳にすることもあるでしょう。この上限を超えてサービスを利用した分は全額自己負担となるため、計画的な利用が必要になります。
この限度額の範囲内で、デイサービスに通い、ヘルパーさんに来てもらい、車椅子を借りる……といったパズルのような調整が行われます。
このパズルは、ご本人がお元気なうちはうまく収まります。しかし、病状の変化によって医療的なケアが必要になってくると、一気に難易度が上がります。床ずれの処置や点滴の管理、あるいは痰の吸引などで看護師の訪問回数を増やすと、その分だけ介護保険の限度額を圧迫してしまうためです。限度額を超えた分は全額自己負担となるため、慎重な調整が求められます。

【家族を悩ませる「あちらを立てればこちらが立たず」の現実】
あるご家族のケースでは、自宅での看取りを希望されていました。容態の変化に合わせて「訪問看護を毎日入れたい」と希望したところ、ケアマネジャーから心苦しい提案をされることになりました。
「毎日看護師を呼ぶとなると、現在の限度額を大幅に超えてしまいます。今使っている介護サービスの一部を自己負担にするか、回数を減らすしかありません」
ご家族は、家で看てあげたいという願いと、増えていく経済的負担の間で、途方に暮れてしまいました。「家で看るということは、これほどの犠牲を払わなければならないのか」と、悩まれる方も少なくありません。

【救世主となるルール「別表7」の存在】
こうした「介護保険の枠が足りない」というジレンマは、在宅介護における大きな悩みの一つです。しかし、実はこの壁を乗り越えることができる仕組みが存在します。それが、厚生労働省が定めている「別表7」というルールです。
この名前だけを聞くと、役所の難しい書類のように感じるかもしれません。しかし実際には、在宅療養を支える重要な仕組みの一つです。
「別表7」とは、厚生労働省が定める訪問看護の特別なルールの一つで、医学的に重い病気(特定の疾病)に該当する方を示した一覧です。主治医がこの条件に該当すると判断した場合、訪問看護の算定を医療保険で行う扱いとなり、介護保険の給付とは別枠で利用できるようになります。

【「別枠」が生まれることで広がる選択肢】
別表7が適用されると、介護生活の風景は大きく変わります。なぜなら、医療保険で利用する訪問看護の費用は、介護保険の支給限度額(点数)の計算に含まれないからです。
いわば、これまで使っていた介護保険の「外側」に、訪問看護のための新しいルートができるようなイメージです。
これまで「看護師さんを呼ぶために、他のサービスを諦める」という選択を迫られていた方が、今の介護サービスはそのままに、看護師にも十分に来てもらえるようになる。これは、ご本人にとってもご家族にとっても、生活の質を守るうえで非常に大きな転換点になります。
介護保険の枠を看護に使わなくてよくなることで、介護サービスを改めて充実させることも可能になります。(※ただし、医療保険としての自己負担分は別途発生します)

【訪問回数の制限が緩和されるという安心感】
医療保険での訪問看護が適用されることのメリットは、単に「お金」の問題だけではありません。
通常、医療保険での訪問看護は原則週3回までとされており、別表7や特別訪問看護指示書などの場合に回数制限が緩和されます。その結果として、週4日以上の訪問や、状態によっては毎日の訪問が行われることもあります。

さらに、病状の急変時などには、1日に複数回の訪問が必要と判断される場合もあります。容態が不安定な時期、あるいは最期を自宅で迎えたいと願う時期に、看護師が継続的に関わってくれるという安心感は、何物にも代えがたいものです。
ご家族だけで医療的な判断を迫られる不安から解放され、本来の「家族としての時間」を取り戻すことにもつながります。

【制度を知ることは、自分らしく生きるための権利】
この別表7には、がんの末期だけでなく、多くの難病が含まれています。また、これらの病気は40歳から64歳までの第2号被保険者の介護保険の対象となる疾病とも重なるものも一部あり、比較的若い世代の在宅療養でも関係する制度です。
制度の知識は、「住み慣れた家で自分らしく暮らし続けるための正当な権利」を守るためにあります。
主治医やケアマネジャーに相談する際には、「別表7に該当する可能性があるかどうか」を確認してみるとよいでしょう。

【別表7の疾病】
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病など)
多系統萎縮症
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
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