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2019年11月09日

有料老人ホーム「成城ガーデン」(株式会社ケアギバー・ジャパン)《後編》

“住宅型有料老人ホーム”なのに、看護師が24時間常駐!

 成城という名だたる高級住宅街の中を歩いた先に建つ「成城ガーデン」は、前編でも申し上げたように、今年7月にオープンしたばかりの新しい施設。ですが、建物は、もとは寮だった建物の改装型です。

 それを聞いて、改めて建物外観を眺めれば、なるほど、改装しての新しさも感じる一方、周囲とはしっくり調和して、ずっと前からこの地にあったことが伺える落ち着いた佇まいがいいっすねえ。正面玄関に段差があるのは、改装型だから致し方ないですが、横にスロープもちゃんとありますので、車椅子の方もご安心ください。

 中へ入れば、左右に広い玄関の正面、ガラス張りの壁の向こうに、綺麗に手入れされた中庭が見えます。右側に受付があり、その前を進むと右手に看護師さんたちが忙しそうに働いている、いわゆるナースステーション、左手にはいかにもラグジュアリーなロビー。いやあ、いい雰囲気ですなあ。

 このシンプルな中にも品格が漂う内装と外観は、前編でも触れましたが、東南アジアの長期滞在型ホテルをイメージしたもの。言われてみれば、上等な木肌の質感を活かしたところなんかにバリあたりの高級リゾートの面影がなきにしもあらず……そんな高級リゾートには行ったことないけど。

 中庭に面したロビーでは、天井から何やら紙切れが七夕の短冊のようにひらひらと。これはスタッフの想いがこもったシャンデリア、だそうですが、詳しいことは聞き忘れました。興味のある人はご見学の際にスタッフにお尋ねください。

 右手のナースステーションも、制服を着た看護師さんたちがいたからナースステーションだとわかりましたが、いなければ絶対それとはわからなかったでしょう。それぐらい、病院っぽさはないし、老人ホームらしくもない、どちらかというと、図書館とか美術館とか、そんな感じさえする施設です。

 ところで、いま、さりげなく、看護師さんがいる、と書きましたが、ちょっと思い出してください。「成城ガーデン」は、パンフレットや資料には有料老人ホームとしか書かれていないものの、類型はまぎれもなく“住宅型有料老人ホーム”でしたよね。

 “住宅型有料老人ホーム”とは、その名の通り、住宅、つまり建物や設備に重きを置いた施設のこと。契約も賃貸のマンションやアパートへの入居と同様、入居時に敷金として入居一時金を払い、月々の家賃を収めるという形式で、食費や介護サービスは、介護付き有料老人ホームのようにすべて一括込み込みではなく、その都度、必要な分だけを選べます。

 要するに、比較的自由に食事や介護等のサービスを選択することができる住宅型有料老人ホームは、さほど介護サービスを必要としない人、すなわち、自立度の高い人、に向けた施設なんですねえ、もともとは。

 ちなみに、“サービス付き高齢者向け住宅”って、ありますよね。これも、住宅型有料老人ホームとほぼ同じものだと思っていいでしょう。同じなのに名称が異なるのは、住宅型有料老人ホームは厚労省の管轄、サービス付き高齢者向け住宅は建設省の管轄、だから、だそうです。

 で、何が言いたいかというと、住宅型有料老人ホームは、自立度高めな人向けの施設ですから、通常は看護師さんはいません。いないのが普通です。逆に、住宅型有料老人ホームに看護師さんがいる、というのは、急病人が出たなどの非常時でもないかぎり、珍しいことなんですよ、本来なら。
 
 しかし、そうはいっても、実際問題、住宅型有料老人ホームなのに看護師が常駐の施設が近年、どんどん増えているからややこしい。当お探し介護の取材レポートでも過去、そうした施設をいくつか取り上げました。建物や設備重視の住宅型有料老人ホームでありながら、医療・介護サービスが売り、という施設が増えているのは、そういうニーズがあるから、でしょうね。それが時代の流れ、と言っていいのかもしれません。

 ですから、“住宅型有料老人ホーム”で看護師常駐の施設、というのは他にもあります。今ではとくに珍しくはありません。しかーし、ですよ。看護師常駐といっても、たいていは日中のみ、大体8~9時から17~18時ぐらい、までしかいない、というところがほとんど。それが普通なんです。が、ここ「成城ガーデン」はなんと、24時間、看護師常駐! なんです。驚くべきことに。

1階の陽当たりのよいダイニング。
取材当日のメニュー。メインはロールキャベツ。
取材当日の介護食(きざみ食)。

医療と介護が連携し、訪問医が日々巡回、終末期対応可、緩和ケアも提供

 大事なことなのでもう一度言います。ここ「成城ガーデン」は、“住宅型有料老人ホーム”でありながら、「看護師が24時間常駐」の施設です。介護士ではありませんよ、看護師が24時間常駐、です。これが当施設の最大の特長といえます。

 看護師が24時間、施設に常駐、略して24ナース。これがいかに大変なことか、我々は運営側ではないので想像の域を出ませんが、まあ、介護付き有料老人ホームでも24ナースは少ないですから、相当難しいんでしょうね。

 その24ナースを住宅型有料老人ホームでありながら実現している「成城ガーデン」。それだけの体制を整えているからには、医療処置が必要な方の対応には自信がある、ということ。24H看護・24H介護により、医療と看護・介護が連携し、緩和ケアを提供。終末期の対応も可。加えて、提携医療機関「医療法人五鱗会 黒目川診療所」から訪問医が日々巡回。しつこいようですが、住宅型でこの医療体制、これは驚きに値します。

 入居対象者は、末期ガン、ALS、脳血管疾患、脳梗塞・脳出血、脊髄損傷、パーキンソン病、高次脳機能障害、糖尿病、心不全、廃用症候群、褥瘡、嚥下障害、胃ろう術後、大腿骨頸部骨折、慢性関節リウマチ、四肢麻痺、脊椎小脳変性症、慢性閉塞性肺疾患、その他特定疾病も相談に応じますから、他の施設で断られた、という方もぜひご相談ください。

 対応可能な医療処置は、インスリン投与、スートマ・人工肛門、痰吸引、ペースメーカー、気管切開、在宅酸素、IVH(中心整脈栄養)、人工透析、尿バルーン、経管栄養、常時の点滴、褥瘡(床ずれ)処置、人工呼吸器の使用、終末期ケアなどなど――。

 これだけの医療処置が対応可能な施設は、今まで取材した中でいうと、「介護付き有料老人ホーム」ではあったかもしれませんが、「住宅型有料老人ホーム」では恐らく、いや、記憶の限りでは、間違いなく、はじめてです。医療重視の「介護付き有料老人ホーム」と比べても遜色ない医療サービスを、必要なだけ選べる「住宅型有料老人ホーム」で享受できる施設、それが「成城ガーデン」です。

医療と介護が連携し、訪問医が日々巡回、終末期対応可、緩和ケアも提供
居室例1。家具付きの部屋。
医療と介護が連携し、訪問医が日々巡回、終末期対応可、緩和ケアも提供
居室例2。チェア付きの部屋。
医療と介護が連携し、訪問医が日々巡回、終末期対応可、緩和ケアも提供
機械浴。重介護度の方向けの最新式。

心に響く料理を、「ひとり一人のためのひと皿」に載せて、いつでも食べたいときに

 と、ここで話を戻しまして、玄関から先に進みましょう。左手にロビー、右手にナースステーションを見ながら進めば、こうした施設では珍しい螺旋風の階段があり、その奥にパッと開けた明るく開放的なダイニングが。木の温もりを活かした床や壁、センスの良いテーブルやチェアに太陽光が燦々と差し込み、まさに“憩いの場”ですな。入居者だけでなく、ご家族やスタッフもゆったりくつろげる、気持ちの良い空間となっています。

 この素敵なダイニングで提供される食事は、お好みで選べるオーダー食が週1食のプランと、固定メニューのスタンダープランの2プランを毎日の朝食・昼食・夕食で。また、ご家族のための晩餐会コース(お一人様8千円~)や、シェフの心づくし四季コース(お一人様1万円~)といった特別メニューも用意(完全予約制)。お誕生日会や季節のイベントなどでご家族やお友達を招いて、賑やかなお食事会も楽しめます。

 この特別メニューがお勧めで、施設の食事というよりは、普通にレストランとして使いたい。というのも、ここの料理長がどうやらすごい人のようで、パンフレットや頂いた資料にプロフィールが載っていたのでそのまま引用しますと、
「料理長 大平勇介:1973年11月6日生まれ。千葉出身。ジュニア野菜ソムリエ、ホテルニューオータニにてフレンチ、イタリアンを中心に基本を学び、東京ドームホテル入社後、洋食、和食調理に携わる。医療系給食施設料理長を経て、銀座に野菜ソムリエ協会認定・創作イタリアンレストランを立ち上げる。現在、有料老人ホーム事業セントラルキッチン料理長」とあります。

 その華やかな経歴の中で、注目すべきは「医療系給食施設料理長」でしょうか。1973年生まれとはずいぶん若いですが、その若さで医療系給食の経験があることに頼もしさを感じます。とはいえ、いくら経歴がすごくても、実際に食べてみなけりゃわからない、ということで、今回もしっかり試食させていただきましたよー。

 この日のメニューは、ロールキャベツの白味噌仕立て、豚肉と大根の煮物、蒸し鶏の醤油マヨネーズ、ごはん・味噌汁。エネルギー528kcal、蛋白質18.1g、脂質16.0g、炭水化物73.8g、食塩相当量2.6g。というデータも毎食表示されています。
 
 で、その感想はといえば、一口食べて、うん、なるほど、と思いましたね。いかにも高齢者のための、優しい、優しい味付け。まあ、要するに薄味ということなんですが、それは高齢者向けの施設の食事ですからしょうがない。でも、欲を言えば、普通の人に向けた普通の味付け、それはつまり、大平料理長の味、というものを体験したかったなあ、なんて考えていたら、ん?ちょっと待てよ。

 一口目はたしかに薄味でもの足りなさを感じたものの、二口、三口と食べ進むうち、次第に味が濃くなってきた? ような――なんだか噛めば噛むほど、素材の味が引き出されてくる気がして、嗚呼、染み染みと、おいしいなあ。

 たとえばロールキャベツなんか、普通ならこってりしたソースやなんかでごまかせそうなものですが、あえてそうせず、意表を突いた和風のあっさり白味噌仕立てがニクイねえ。その味噌なのに主張しすぎない絶妙な加減が中のお肉の味を引きたてるどころか、あまつさえ外のキャベツのほのかな甘味まで爽やかに感じさせて、お見事!

 あんまり美味しかったので、シェフにお話を伺いたい、と頼んだら、なんと、大平勇介料理長その人が現れたではないですか。プロフィールには「現在、有料老人ホーム事業セントラルキッチン料理長」とありましたが、普段はこちらで腕を振るっていらっしゃるとのこと。さすが、「成城ガーデン」は、食事も自慢の施設です。

 その大平料理長のお話ですが、やはり、毎日の食事ですから、まずは「飽きがこないように」ということを考え、日々工夫を凝らすとともに、利用者の状態は日によって違ってくるので、会話をしつつ、体調にも気を使いつつ、「一人ひとりのためのひと皿」を提供するようにしています、とのこと。これは料理をつくる人の顔が見える当施設ならでは、ですね。

 もちろん刻み、トロミ付け、ミキサー、経管栄養食品等の介護食も対応可。今回はその刻み食も見せていただきましたが、なんだか、嚥下困難な方のための食事までオシャレに、美味しそうに見えてくるから不思議なものです。

 あっと、ついつい食事の話が長くなりました。もう文字数いっぱいなので以下はざっとまとめることをお許しください。
 居室は前編でも申し上げましたが、3タイプあって、
■S-type;電動介護ベッド(保険適用)、ナースコール、デスク&チェア、デスクライト、冷蔵庫、カフェテーブル&チェア、32インチTV、TVラック、エアコン、シーリングライト、クローゼット、カーテン。
■A-type:電動介護ベッド(保険適用)、ナースコール、デスク&チェア、デスクライト、32インチTV、TVラック、エアコン、シーリングライト、クローゼット、カーテン。
■B-type:電動介護ベッド(保険適用)、ナースコール、エアコン、シーリングライト、クローゼット、カーテン。

 広さはすべて同じく13.55㎡で、家具家電の有無で家賃が変わる、というのはユニークですね。13.55㎡と聞けば狭いと思うかもしれませんが、実際に見てみると、トイレがない分、意外なほど広々ゆったり。重厚感を残しながら、個々の生活を楽しめます。

 共用部分には介護度の高い方のケアにも適応した設備を完備。機械浴に個浴、理容美容室やラウンジ、そして、これも自慢の1つである中庭、などは写真でご確認ください。

 それから、一応、アクティビティについて一言。取材対応してくれた本田浩美・本部長が仰るには、現在の入居者は介護度が高めの方がほとんどで、オープンして間もないこともあり、アクティビティと呼べるような活動は今のところまだ行っていないそう。「ですから、従来の住宅型有料老人ホームのイメージを持ってうちに来られると、全然ちがう、と驚かれますね」。「成城ガーデン」のパンフレットや資料に“住宅型有料老人ホーム”という文字が見当たらないのは、そうしたことも理由の1つのようです。

 とはいえ、アクテビティはまったくない、というわけでもないようで、パンフレットには「想い残すことなく、人生の自己実現を」として、アクティビティコンシェルジュが家族旅行や日帰り外出をサポート(看護師または介護士同行)したり、映画観賞会や音楽会なども随時開催、といった記載がありますから、まあ、今後参加者や希望者が出てくれば、それに応じてさまざまな企画を立ち上げていく、ということでしょう。それも含めて、色々な意味で今後が楽しみな「成城ガーデン」へ、ぜひ一度足をお運びください。

 最後に。本来なら施設長にお話しを伺いたかったのですが、この日は残念ながら不在。代わりに、ケアギバージャパン有料老人ホーム事業部の橘達也さんから後日、以下のようなお言葉をいただきました。
「弊社では、ここ成城をはじめ、一ツ橋、調布、国分寺の施設を“医療型連携有料老人ホーム”として展開している以上、医療処置が必要でありながら、在宅復帰ができない方へのセカンドホスピタルとしての自負を持って運営しております。“医療”というものに対する重さをスタッフ全員が共有し、チームケア=心に寄り添うケアをお約束します」
 いかがでしょうか。“住宅型有料老人ホーム”でありながら、看護師24時間常駐、訪問診療は日々巡回、医療と看護・介護が連携し、緩和ケアを提供する「成城ガーデン」。医療処置等で対応可能な施設が見つからなくてお困りの方も、他の施設で断られた方も、まずはご相談を。希望の光はここにありますから。(了)

心に響く料理を、「ひとり一人のためのひと皿」に載せて、いつでも食べたいときに
会議室。大スクリーン付き。
心に響く料理を、「ひとり一人のためのひと皿」に載せて、いつでも食べたいときに
個浴室。まだ使用頻度低し。
心に響く料理を、「ひとり一人のためのひと皿」に載せて、いつでも食べたいときに
綺麗に手入れされた自慢の中庭。

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