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2024.05.10
相談員ブログ

多系統萎縮症について

【多系統萎縮症とは】
多系統萎縮症とは、その名の通り、体の中の多くの系統が委縮してして、機能低下が現れる指定難病の一つです。
病気のメカニズムは解明されておらず、今のところ根本的な治療法が確立されていません。
平均発症年齢は55~60歳で、発症後の余命は8~10年と進行が速い病気です。
介護保険では40歳から64歳の人が16の特定疾病になっている場合に、第2被保険者として認定されますが、多系統萎縮症はその特定疾病に該当しています。
主な症状は小脳症状、パーキンソン症状、自律神経障害です。
発症してしばらくは1つの症状が主体になりますが、進行すると3つの症状が同時に現れてきます。

【多系統萎縮症の3つのタイプ】
多系統萎縮症は発症時に現れる症状が異なります。
以下の3つのタイプに分類されますが、病状が進むと様態が重複して発症します。

【オリーブ小脳萎縮症】
小脳とその近くにあるオリーブ核・橋核に変性が起きます。
ふらつきやろれつが回らなかったり、手の震えなども見られる小脳性運動失調を発症します。
また、歩行時に腰部が揺れる体幹動揺や、足を広げて歩く失調性歩行が見られます。
言葉を発しにくくなったりする構音障害、眼球運動障害や、文字を書けなくなる場合もあります。
多系統萎縮症の70%~80%を占めています。

【線条体黒質変性症】
線条体と黒質は大脳基底核にあり、運動調節や認知機能、学習などの機能を担っていますが、そこに障害が発生し、パーキンソン病と同じような症状が現れます。
動作が緩慢になったり、筋肉が固縮して手足をスムーズに動かせなくなったり、姿勢が前かがみになり、転びやすくなったりします。
パーキンソン病でよく現れる振戦などの不随運動はまれです。
症状が進むとパーキンソン病の薬が効かなくなってしまいます。

【シャイ・ドレガー症候群】
自律神経障害を発症します。
運動神経をつかさどる錐体外路が障害受けるため、固縮や姿勢反射障害なども現れてきます。
急に状態を起こした時に立ちくらみが起きる起立性低血圧や、頻尿になったり膀胱に残尿感がある排尿障害、発汗の低下や睡眠障害、体温調節障害なども生じます。

【多系統萎縮症の評価スケール】
日本語版modified Ranking Scale(mRS)判定基準書は、神経運動機能に異常をきたす疾患の重症度を評価するスケールです。3以上が難病指定の対象とになります。

⓪全く症状が無い
自覚症状、他覚徴候がない状態。

①症状があっても明らかな障害は無い
自覚症状、他覚徴候があるが、以前通りに仕事や活動に制限はない状態。
 
②軽度の障害
発症以前から行っていた仕事や活動に支障があるものの、日常生活は自立した状態。

③中等度の障害
買い物や公共交通機関を利用した外出には介助を必要とするが、通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレには介助が不要な状態。

④中等度から重度の障害
通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレには介助を必要とするが、持続的な介護は不要な状態。

⑤重度の障害
寝たきり、失禁、常に介護と見守りを必要とする状態。

⑥死亡

【まとめ】
多系統萎縮症は比較的病状の進行が速く、日本でのデータによると発症後は約3年で介助歩行となり、約5年で車いすを使用するようになり、約8年で寝たきり状態になり、やがて死に至るケースが多いようです。
また、呼吸障害や誤嚥による突然死も見られます。睡眠時の突然死が多く、気管切開下陽圧換気を行っていたとしても防げない場合もあります。
特別な治療法が確立されていないため、可能な限り早期の診断を受けて、症状に応じた処置を早めに開始することが大切です。
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