2024.11.13
相談員ブログ
認知症のくすりについて
【認知症の薬とは】現代の医学では根本的に認知症を治療したり、減少した脳の細胞を改善する薬は開発されていません。
一方で、認知症の進行を抑えたり、症状を和らげる抗認知症薬は数種類が開発されています。
今ある記憶力や判断力を保つことや、認知機能の低下を穏やかにする薬、不安・興奮・暴力などの症状にも薬を処方されることがあります。
認知症の早期段階から薬を服用することで、症状の進行を遅らせ、その方らしく健康的に過ごせる期間を延ばせることが期待できます。
効果には個人差がありますが、服薬を勝手な判断で中止してしまうと、薬を使用する前の状態に戻ってしまう場合もあるため、必ずかかりつけ医に相談するようにしましょう。
【アリセプト®(商品名)】
一般名ドネペジルは、アルツハイマー型認知症の軽度から重度にかけて、進行を遅らせることができるといわれています。
1999年に日本で初めて販売されましたが、脳内のアセチルコリン(神経伝達物質)の減少を抑制する作用があります。
記憶障害を緩和する効果も期待されていますし、意欲低下している認知症の方の脳内ドーパミン量が増加して活気が戻る場合もあります。
また、抗認知症薬としては唯一、レビー小体型認知症にも使用されています。
服用は1日1回で飲み忘れ防止にもなり、口腔内崩壊錠(水無しで口の中で溶ける形態)、細粒やドライシロップ剤、ゼリー剤などもあり、服用しやすくなっています。
副作用としては、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢などの症状が見られることがあります。
加えて、ドーパミン量が増えるため興奮や妄想、幻覚といったせん妄が現れる可能性もあります。
さらに、不整脈など心臓疾患の持病がある方は服用できません。
【レミニール®(商品名)】
一般名ガランタミンは、アリセプト®と同様にアセチルコリン(神経伝達物質)の減少を抑える作用があります。
2011年に販売開始され、アルツハイマー型認知症の軽度から中度の方に適用されます。
服薬し続けることで記憶障害や見当識障害の症状を抑えると言われています。
1日2回の服用で、錠剤と口腔内崩壊錠の形態があり、服用しやすく工夫されています。
副作用として、吐き気や嘔吐などが生じる場合があります。
【イクセンパッチ®・リバスタッチパッチ®(商品名)】
2011年に販売開始された一般名リバスチグミンですが、イクセンパッチ®とリバスタッチパッチ®は会社が違うだけで同じ薬です。
こちらもアセチルコリン(神経伝達物質)の減少を防ぐ薬で、軽度から中度のアルツハイマー型認知症に適応されます。
名前の通り、抗認知症薬の中で唯一の貼り薬で、薬の成分が皮膚から持続的に吸収されるため、内服液に比べて効果を安定的に維持できます。
貼り薬なので、嚥下がしづらい方にも使用されます。
かゆみや発疹が出る可能性があるため、肌が弱い方には注意が必要です。
【メマリー®(商品名)】
2011年に販売開始された一般名メマンチンは、前述の抗認知症薬とは異なり、グルタミン酸と呼ばれる神経伝達物質の働きを抑えることで、症状の進行を遅らせます。
グルタミン酸は神経細胞を興奮させる作用がありますが、メマンチンは物盗られ妄想や暴力的な行動が見られる認知症の方に有効であるとされています。
腎臓機能が低下している方は、体内からの排出が遅れるため、減量して使用する場合もあります。
主に、中等度以上のアルツハイマー型認知症の方に処方されることが多いです。
服用しすぎると活動量や意欲が減退する可能性もあり、日中に眠りがちになる場合もあるため、適切な容量での管理が必要です。
【レケンビ®(商品名)】
一般名レカネバブは2023年に発売された新しい抗認知症薬です。
これまでの抗認知症薬とは異なり、認知症の原因とされる脳内に溜まったアミロイドβというたんぱく質を除去することで、症状の進行を抑える効果が期待されます。
対象は「MCI」と呼ばれる軽度認知障害の方や、アルツハイマー型認知症の軽度の方に限られています。
2週間に1回の点滴投与が行われ、使用期間は原則18か月、回数は合計36回の投与が目安とされています。
副作用としては、頭痛や悪寒、発熱、脳の浮腫や出血などが生じることがあります。
また、価格は未だ一般的な水準を大きく超えているため、現在は利用者は少ないのが実情です。
【抗認知症薬以外で使用される薬】
・睡眠導入剤
夜間の徘徊やレム睡眠行動障害、不眠障害などの症状がある方に処方されることが多いです。
睡眠障害による認知症の悪化を防ぐためにも、睡眠導入剤が使用されることがあります。
・漢方薬
認知症の周辺症状(BPSD)を和らげるために使用されることがあります。
抑肝散(よくかんさん)は易怒性や、幻覚、妄想、興奮、暴言、暴力などを落ち着かせると言われています。
釣藤散(ちょうとうさん)は夜間せん妄、睡眠障害、幻覚、妄想に有効であるとされています。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんちんぴはんげ)は、興奮状態やイライラを改善して穏やかな暮らしを手助けします。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、不眠や中途覚醒などの睡眠障害のある認知症の方に処方されます。
・抗不安薬
認知症は不安感や焦燥感、うつ状態等の周辺症状が現れることがありますが、抗不安薬の使用によって落ち着いた心の状態に保つことが期待されます。
・抗精神薬
認知症による興奮や暴言や、暴力が生じる場合は、抗精神薬を処方されることがあります。