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2023.08.25
相談員ブログ

‘老人’ホームの呼び名について?

【高齢者は幾つから?】
ある日、電車に乗っていると、目の前に高齢者の方がおられたので、席を譲りました。するとその方が席に着くなり、「俺は老人に見えるのかい?」と言われたのです。「あ、いや、そのですねェ」と口ごもっていると、「俺ね74歳なんだよ。でも、周りからは10歳は若く見えると言われていてさ」と、その後私が降車するまでひたすら話しかけられたのでした。

果たして、席を譲ったことはその方のプライドを傷つけたのか、感謝されたのか、駅のホームにたたずんで暫し考えてしまいました。国連では60歳以上を「シニア」としていて、WTOでは65歳以上を高齢者、75歳で後期高齢者と分けています。ですが日本老年医学会ではこれを改める提言をしていて、65~75歳を準高齢者、75歳以上が高齢者、そして、90歳以上を超高齢者と呼んではどうかと提案しています。確かにその方が日本の実情に近いのかとも思われますが、個人差もあったり、本人の意識や状態もあるので、明確に区分できるのかは難しいことです。

【エイジズム~高齢者への差別】
アメリカ国立老化研究所の初代所長ロバート・バトラーという人が、「エイジズムとは年をとっているという理由で高齢者たちを組織的に1つの方にはめ、差別すること」だと定義しています。エイジズムをポジティブに考えると、高齢者を優遇することと捉えられます。例えば、公共交通機関の割引制度や、映画や美術館での割引などもあげられます。
ネガティブな面で見ると定年制度があり、一定の年齢になると退職をさせられたり、高齢になると就職しづらくなったりします。また年齢によって賃貸住宅への入居を拒否されてしまうこともあります。

そのような社会的な面もありますが、対人的に偏見を持つこともあります。高齢者は頑固であると決めつけるとか、「こんなことをしてしまうのは年のせい」と固定観念を持つことも差別することにつながります。
またエイジズムは高齢である自分自身にも差別してしまうことがあります。「もう老人だからできない」「年寄りは家族に迷惑かけないようには引っ込んでいたほうがいい」と思い込み、いよいよ自分を老化させることもあります。
高齢者に対する偏見や固定観念から脱却することがエイジズム克服の前提になっています。

【何という言い方が良いのか】
老いの工学研究所が「高齢者の呼び方に関する調査」を20代から80代まで実施しました。シニア、シルバー、高齢者、老人、年寄り、じいさん・ばあさん、のいずれがポジティブにとらえられえるかという質問に対して、全世代ともに「シニア」が最も票を集めました。一方、「高齢者」は年代が上になるほど得票率が上がりました。
逆にネガティブな印象を受ける呼び方として「老人」次いで「年寄り」という順だったのです。
確かにシニアという響きは品のある感じで、耳障りがよいです。
では、英語では高齢者をどう呼ぶかですが、真っ先に浮かぶ言葉は「old people」でしょうけれども、「老けている人」という意味で失礼な印象を与えてしまいます。older people なら「年上の方」というニュアンスで大丈夫ということです。
やはり「senior citizens」が、最も代表的な言い方で、公共施設でも使われています。意味としては、「年長者」や「上級者」「先輩」という意味があります。
他に「elderly」という言葉もあり、「年配」というニュアンスがあるようです。

【老人ホームという呼び名】
では「老人」という呼称が最もよくない印象があるのに、老人ホームという名称はどうなのでしょう?

また、英語で調べてみると「nursing home」、「retirement home」、「assisted living residence 」と何種類かあります。「nursing home」は入居者が病気の方が多い施設で、「retirement home」、「assisted living residence 」は自立度高めの方の施設のようです。他にも未だ種類はあるのですが、直訳して「老人」と付く施設はあまり多くないようです。

もしかすると、‘老人’ホームの一般名称を変更したら、老人ホームを利用する人が増えるかも知れません。介護付有料‘シニア’ホームや住宅型有料‘シニア’ホームとか、響きはよいですが、今までのイメージを払拭できるかは利用する方たちの意識の転換にあるかどうかですね。

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