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2023.09.07
相談員ブログ

老人ホームでのリハビリテーションについて

【病院と老人ホームのリハビリテーションの違い】
高齢者で怪我をし入院した後、老人ホームを検討されることはよくあります。
そして、入院以前の状態に戻れるようにと強く願われ、リハビリテーションに注力している老人ホームを探されるご家族がおられます。
そこで、病院で行っているようなリハビリテーションを老人ホームにも求めると、思っていたものと齟齬が起こることがあります。
病院は、急性期から回復期における、心身機能や日常生活動作の改善や向上を目的としています。それに対して老人ホームのリハビリテーションは維持期における心身機能の維持や生活機能を向上させることが目的となっています。
医療保険で行われるは回復リハビリテーションで、介護保険で行われるのは生活リハビリテーションなのです。
また、病院では医師の指示のもとリハビリテーションの専門職員が行いますが、老人ホームでは機能訓練指導員が行います。
機能訓練指導員は、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、鍼灸師などの資格を持った人を指します。そのいずれかのスタッフが常勤していることが義務付けられていますが、看護師が機能訓練指導員になっている老人ホームも少なくありません。
その一方、PTやOTなど配置してリハビリテーションに注力するホームも増えています。また、住宅型有料老人ホームだと、外部の訪問リハビリテーションやデイケアを利用してしっかりリハビリテーションを行うこともできます。

【機能訓練指導員の役割】
老人ホームの機能訓練指導員として色々なスタッフを配置しているところもあります。それぞれの専門の仕事を見てみましょう。
・理学療法士(PT)
基本的動作能力の回復を図るため、治療体操、運動、電気刺激、マッサージ、温熱等を行う。
・作業療法士(OT)
主として応用的動作能力または社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作、その他の作業を行う。
・言語聴覚士(ST)
音声、言語、聴覚の機能の維持向上を図る。医師や歯科医師の指導の下、嚥下訓練、人工内耳の調整等を行う。
・柔道整復師
骨折・脱臼・打撲・捻挫などのけがに対し、手術をしない「非観血的療法」によって、整復・固定等の治療を行う。
・あんまマッサージ指圧師
肩こりや腰痛に対し、押し、揉み、さすり、叩く等して体調の改善や関節可動域の確保等を行い不調を和らげる。
・鍼灸師
リウマチ、高血圧手血圧症、気管支炎、前立腺肥大等様々な病気に対し、鍼と灸を使ってツボを刺激し自然治療力を高めて病気を改善させる。

【老人ホームでのリハビリテーションの種類】
老人ホームでのリハビリテーションは、専門職員による個別リハビリテーション、集団リハビリテーション、生活リハビリテーションがあります。
・個別リハビリテーション
上記の機能訓練指導員がマンツーマンで介入して、その方に応じた計画に則して週に数回機能維持や回復に取組みます。
・集団リハビリテーション
複数の入居者が一緒に機能訓練を行います。集団で取組むことで、身体機能や生活の質だけではなく、意欲やコミュニケーション能力の維持・向上を目指します。
・生活リハビリテーション
主に普通の生活を通じで腕や足などの機能を維持させて、日常生活全般でできることはご自分でしてもらうことを目的としています。日常生活を行う上で必要な動作(着替え、排泄、食事をするなど)に対して、声掛けや補助によりできるだけ自分の能力でできるようにサポートします。
生活の全てがリハビリテーションと捉えて取組みます。

【生活リハビリテーションの意味】
「老人ホームでは生活リハビリテーションを行います」とご家族に説明すると、残念そうな表情を浮かべられる方もおられます。
病院は機能が回復できるところまでリハビリテーションを行い、老人ホームは回復できた状態を維持すること、残存機能の維持が主たるリハビリテーションなのです。
残念ながら病院で回復できなかった機能は、その後長く取り組んでも回復できないことが多くの場合あります。
けれども、まだ残された機能があるならば、その能力を長く維持することに注力するのが生活リハビリテーションです。
例えば、右手が麻痺してしまったら、左手で今までの生活を続けられるようにすることに重きを置きます。
病院でのリハビリテーションは実施期間が区切られていますが、老人ホームではその方の状態変化に対応しながら、ずっと継続されていくものです。
また、生活不活発病とも言われる廃用症候群は、長期間の安静状態や運動量の減少によって身体機能が衰え、心身の様々な機能が低下することです。
それを防ぐ意味でも生活リハビリテーションは非常に重要なことであります。
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