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2023.09.13
相談員ブログ

高齢者がむせこむのはなぜか。

【嚥下障害の可能性について】
家族で食事中に「この頃、むせこみが増えたな」と親御さんの様子の変化が気になりだしたという方はおられませんか?
特に味噌汁や水分摂取時や水分を多く含んだ食べ物でむせこむ場合、嚥下障害が起きていないか要注意です。
嚥下機能が低下すると、飲食物が肺につながる気管に入り込む「誤嚥」が起こりやすくなります。特に高齢者は誤嚥性肺炎を起こす危険性が高まります。
むせこみだけでなく、下記のような症状が見られたら嚥下障害を疑った方が良いようです。
・食後に声がかすれる。
・痰が絡んだリ、痰の色が黄色くなる。
・肺雑音が聞こえる。
・しっかり噛まずに飲み込むことが多い。
・食事中に鼻水が出る。
・食事に疲れて、食べるのに時間がかかる。
・食べ物が口の中に残る。
・微熱が続く。
・食欲が低下して体重が減少する。

【嚥下障害の原因】
喉には喉頭蓋というフタがありますが、気道に空気を送るためにために普段は開いています。そして飲食物が喉を通る際に瞬間的にフタが閉まり、食道へ送り込むという仕組みになっています。
ところが、加齢あるいは疾患などでこの機能が衰え、嚥下する際にフタを閉めるタイミングを外してしまい、飲食物が気道に入ってしまうようになります。これを誤嚥と呼びますが、吐き出そうとしてむせこんでしまうのです。
因みに水分摂取の場合もむせこむケースがしばしば見られますが、これは食物よりも水分の方が喉を通過するスピードが早く、気道のフタが閉まるのが間に合わないことから起こるのです。
高齢になると喉の筋肉が衰え、唾液の分泌も低下し、飲み込むことへの脳の指令が遅くなってくるのです。
これらのことが嚥下機能を低下させる一因です。
加齢以外にも病気が嚥下機能を低下させることがあります。
脳血管障害や、脳梗塞、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などにより、脳の神経細胞の一部が機能障害を起こすことなどもその原因となっています。

【誤嚥性肺炎について】
むせこむことは喉の正常な防衛反応です。逆に飲食物が気道に入りかけた時に、むせこみが起こらない場合に気を付けましょう。
むせて吐き出すことができずに誤嚥してしまうと、窒息や肺炎を起こすリスクが高まります。
高齢者では誤嚥しているという自覚がないまま、むせずに誤嚥を起こしている「不顕性誤嚥」もあります。特に寝ている状態で少量の唾液や胃液が気管に入っていることもあるので、注意が必要です。
誤嚥性肺炎の初期の症状としては、咳、痰、発熱、息切れ、胸痛などが見られます。
そして悪化すると、呼吸困難、酸素不足、意識障害、低血圧、心拍数の増加、体温上昇が見られます。
誤嚥してしまうと口腔内の何百もの細菌(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌(かんきん)、カンジダ菌、インフルエンザ菌など)が、肺の中に侵入してしまい、肺炎を引き起こしてしまいます。それを誤嚥性肺炎と呼びます。
65歳以上の方の肺炎の7割が誤嚥性肺炎で、年間約10万人が死亡していて、死亡率の8.6%を占めているので、侮れません。
また、誤嚥性肺炎をきっかけに経口摂取が困難となり、経管栄養になられる方も多数おられます。

【嚥下困難への対策】
誤嚥性肺炎を起こす人は、一時的に治療をして回復するものの、嚥下機能が既に低下していることが多いため、再発する危険性が高いです。
そのため予防が重要であり、定期的な診断や医療機関の受診が必要になります。
日常生活の中では、下記のことに注意することが大切です。
・ゆっくり食べるように促す。
・テレビやよそ見をせず、会話に夢中にならずに食事に集中する。
・食事形態を小さくした柔らかくしたり、水分にとろみをつける。
・食事の時に姿勢をよくする(顎が上がらないようにする。猫背にならないようにする。)
・口腔内を清潔に保つ。
・食事前に嚥下体操を行う。 
高齢者施設では食事前に「パタカラ体操」と呼ばれる嚥下口腔体操を行っているところが多いです。
「パ」は唇を閉め、食べ物を口からこぼさないようにしています。
「タ」は舌を上あごにつけ飲み込みのための筋肉トレーニングになります。
「カ」喉に力を入れ喉を閉めます。食べ物を食道に送り込むための練習です。
「ラ」舌先を前歯の上に付けます。食べ物を奥へと運ぶためのトレーニングです。
家でやる際は、ご家族も全員でやると、親御さんも参加されるのではないでしょうか。食事が一層楽しくなるかもしれません。

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