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2023.11.17
相談員ブログ

進行性核上性麻痺について

【進行性核上性麻痺(PSP:progressive supranuclea palsy)とは】
「あの方は急に立ち上がるから、転倒されないように気を付けてね」
介護の現場デビュー間もないころ、先輩介護職員が教えてくれた進行性核上性麻痺の方の対応に関する注意点でした。
突発的に立ち上がったり、行動を起こす、いわゆる「ロケットサイン」を起こすことがあることを教わりました。

進行性核上性麻痺はパーキンソン症候群の一つで、現在のところ治療法が確立されていない難病です。
発症するのは40代くらいから見られますが、60代で多く発症していて、男性が多い傾向にあります。
日本における有病率は10万人に数人程度で、遺伝性は殆ど報告されていません。
大脳基底核・脳幹・小脳などに変性が生じ、神経細胞が委縮していく病気です。
この病気の特徴として、眼球の動きに制限が現れます。
中脳が害されることで、眼球運動にかかわる動眼神経や外転神経の中枢(これを核上と言います)に障害がおこるため、「核上性麻痺」と名付けられたのです。

【パーキンソン病との違い】
初期症状のうちは、動作緩慢や歩行障害などパーキンソン病と似た症状があらわれますが、パーキンソン病の治療薬は効果があまりありません。
そして、パーキンソン病と比較すると進行がより早く、より重度の筋肉の緊張と身体障害をもたらします。
パーキンソン病では中脳の黒質に病変が出てきますが、進行性核上性麻痺は中脳後方が委縮し、異常なたんぱく質が蓄積します。
このことが下記のような症状をきたします。
・筋肉の緊張状態の異常により、パーキンソン病とは異なり、逆に反り返ってくる。
・パーキンソンとは逆に四肢の筋肉の緊張状態の低下が見られる。

【進行性核上性麻痺の症状】
①神経症状
・転倒・歩行障害
初期から転倒を繰り返します。首が後ろに反り返るため姿勢が不安定なうえ、注意力が低下するので転倒を繰り返します。
歩行障害は、開脚歩行・すくみ足・突進現象が生じます。
・眼球の運動障害
眼球の上下運動に障害があらわれ、特に下を見ることが困難なことから転倒しやすくなります。
進行するにつれ左右の動きも障害が生じ、眼球が真ん中から動かせなくなる状態になってしまいます。
・構音障害・嚥下障害
聞き取りにくい話し方や、飲み込みにくくなる症状が出てきて、やがては経口摂取が困難になってきます。
・認知症
判断力の低下・見当識障害・物忘れがあり、性格変化が生じたり、無気力・無関心になります。
・パーキンソン症状
身体の固縮・緩慢が見られます。振戦もありますがパーキンソン病ほどではありません。
②精神症状
・感情障害
抑うつ症状が初期には見られます。
興奮、易怒性、無関心、感情の急激な起伏など生じる場合もあります。
・幻覚・妄想
幻視・幻聴が生じることがあります。また嫉妬妄想などを示すこともあります。

進行性核上性麻痺の進行は速く、通常は発症から2~3年で車いす生活になり、4~5年ほどで寝たきりになり、平均余命は5~9年程度と言われています。

【進行性核上性麻痺のケア】
転倒を繰り返したり、ベッドからそばに置いてあるものを取ろうとして、転落するということがありますので、これを予防する必要があります。
・スリッパやカーペットの段差など転倒を招くものを避ける
・ベッドやトイレに手すりを付ける
・普段使うものは近いところに置いて転落しないようにする
・早めにトイレ誘導をする
・保護帽など受傷予防策を身に付ける
・嚥下状態によって食形態を変更する
・寝たきりになったら、褥瘡防止のために体位交換を行う





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