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2023.11.20
相談員ブログ

レビー小体型認知症について

【レビー小体型認知症(DLB:Dementia with Lewy bodies)とは】
老人ホームの夜勤中、PHSが鳴り、「〇号室に応援に来て!」と違うフロアからの援助要請がありました。
駆けつけてみると、男性入居者がトイレの中で、「敵がいる!」とハンガーを壁に打ち付けています。
私も見えない敵と一緒に戦ったのち、トイレからお連れし、もう安心であることを切々と説いて、ベッドに入っていただきました。
その方はレビー小体型認知症で幻視を見ておられたのです。

レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多く、認知症で占める割合は2割ほどと言われています。
65歳以上で発症される方が多く、男性が多い傾向にあります。
レビー小体型認知症は、レビー小体という異常なたんぱく質が大脳皮質に溜まり神経細胞がダメージを受けて、認知症状などの様々な症状を示します。

【レビー小体型認知症の症状】
Ⅰ中核的症状(特徴的な症状)
・認知機能の変動
物忘れや・判断力・理解力の低下が見られます。
認知機能が変動することが特徴的です。
穏やかな状態から、無気力状態、興奮状態、錯乱状態を繰り返すことがあります。
・幻視
そこにいないはずのものが見える幻視や錯覚が妄想に発展することがあります。
また、実在するものが異なって見える錯視という症状もあります。
そのため、統合失調症などの精神疾患との鑑別が難しいこともあるのです。
・レム睡眠行動異常症
レム睡眠時(眠りが浅い時)に、大声で叫ぶ、暴れるなどの行動が現れることがあります。
・パーキンソン症状
動きにくい・動きが緩慢、手足のこわばりや震え、姿勢が維持しにくく転倒しやすいという運動機能の障害が現れます。
Ⅱ支持的症状(多様な症状)
・自立神経症状
倦怠感、寝汗をかく、便秘、起立性低血圧、頻尿、尿失禁、めまいや失神などの症状が現れることがあります。
・臭覚障害
臭覚が鈍くなり、日常生活に支障をきたすことがあります。
・抑うつ症状
意欲・食欲がわかない、気持ちが晴れない状態になります。

【レビー小体型認知症の進行と経過】
Ⅰ初期症状(軽度)
抑うつ状態、レム睡眠行動異常、臭覚異常、便秘、嚥下障害などの症状が見られます。
少しづつ幻視や錯視などの症状も現れます。
しかし、認知機能は比較的に保たれて、物忘れ・見当識・理解力の低下はあまり見られません。
Ⅱ中期症状(中等度)
認知機能や意識レベルの変動が大きくなり、悪い状態が増加します。
徘徊や妄想、パーキンソン症状も悪化してきて、歩行困難になる人もいます。
幻視や妄想も増え、対応困難な場面も増加します。
Ⅲ後期症状(高度)
パーキンソン症状や認知機能障害がさらに悪化して、日常生活を送るのが困難になります。
転倒やベッドからの転落リスク、誤嚥のリスクも高まります。

【レビー小体型認知症の方への対処方法】
Ⅰ薬物治療
認知機能障害に対しては抗認知症薬、パーキンソン症状に対しては抗パーキンソン薬、レム睡眠行動異常には不眠症治療薬を用います。
Ⅱ非薬物治療
・幻視に関しては否定してはなりません。
理解を示したしたうえで寄り添い、不安が強い時は一人にしないようにしましょう。
・室内環境をシンプルにして、明るさを一定にすることで、幻視・錯視予防につながります。
・転倒予防のために、リハビリテーションや、散歩や運動をすることで、運動機能の維持を心掛けましょう。
・転倒防止のため、急な声掛けはしないことや、ベッド柵や手すりの設置、室内の段差を無くすようにしましょう。





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