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2023.11.21
相談員ブログ

DNARについて

【DNARとは】
ある老人ホームで入居者様が居室にて意識を喪失され、心肺停止状態になられているのを介護職員が気づきました。
慌てて看護師を呼び、心臓マッサージを依頼すると、「この方はDNARの表明があるので、心臓マッサージはできないわ」と言われました。
そこで往診医に連絡し指示を仰ぎ、すぐにご家族に連絡を入れたのでした。

DNARとはDo Not Attempt Resuscitation「蘇生を試みないこと」という意味で、心肺停止状態になった時に心配蘇生措置を行わないということです。
心肺蘇生とは、心臓マッサージ・人工呼吸の装着・気管挿管・心臓に対する電気ショック・心拍再開のための昇圧剤投与などのことを指します。

【何故DNARという選択肢があるのか】
誰しも心肺蘇生して生を永らえることがベストだと考えますが、そうではない方が良い場合もあるのです。
若い人が心肺停止をした場合に、心肺蘇生を行って体にダメージが残っても、回復していく見込みはあります。
ところが、衰弱した終末期に心肺蘇生を行っても、その後ダメージが大きく残って、以前よりもダウンした状態、例えば植物人間状態になってしまうこともあります。
また、心肺蘇生という行為は身体に大変な負荷をかけます。
そのため、心肺蘇生が成功しても成功しなくても、対象者と家族が対面する時にはボロボロになった状態になってしまっているということも多く起こっています。
また、蘇生措置の最中にお亡くなりになることも少なくなく、ご家族に看取られる機会が失われてしまうこともあります。
このようなこともあるので、DNARを選択する本人や家族がおられるのです。

【リビング・ウィルと人生会議】
リビング・ウィルは元気なうちに、人生の最終段階における医療・ケアについての意思表明をすることです。
不慮の事故や病気で意思表示ができなくなった時にも、書き記しておくことで本人の希望を伝えることができます。
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)=「人生会議」をご家族や、医療・介護の関係者と開き、自身が望む医療やケアを共有することが大事です。
「終末期にどんな対応をしてほしいか」、「どんな最期を迎えたいか」など、人生会議で話し合って、リビング・ウイルを書き残すことが大切です。
リビング・ウィルの中にはDNARについても、その意向の有無を表明しておくことを勧めます。

【DNARの意向について】
DNARの意向は厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に添って取り扱われます。
ガイドラインには、
「医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い本人により意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めていくことが最も重要な原則である。」
と記載されています。
十分な話し合いが各所関係者となされたら、DNARの同意書を提出します。
担当医は本人の診療記録にその旨を記載し、医療・介護スタッフにも周知するようにします。

DNARはあくまで心肺停止時に蘇生を行わないということなので、心肺停止時以外の治療は通常に行うので、その点は理解しておきましょう。






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