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2023.11.22
相談員ブログ

何故神様は老人として描かれるのか?

【神様の描写】
漫画やアニメなどで神様が描かれる時に、何故か子どもでも青年でもなく、高齢の男性として表現されることが多いです。
皆さんも神様と言えば、杖を左手に持ち、白髪で長い白髭を蓄えていて、白雲の上で光に包まれた描写をイメージされているのではないでしょうか。
これを検証してみましょう。

【西洋の神様のイメージ】
西洋文化のベースになっているのが古代ギリシアですが、そのギリシアの神話に登場する最高神ゼウス。
ゼウスは宇宙や天候を支配する天空神であります。
そして神々と人間たちの父であり、双方の秩序を守り、支配する神様とみなされているのです。
ゼウスを表現した石像や絵画は、豊かな髭を携えた老人の姿をしています。

【キリスト教の神様のイメージ】
イエス・キリストが「天の父よ」と祈ったことから、神様を高齢の男性とイメージすることが多かったようです。
有名なシスティアーナ礼拝堂のミケランジェロが描いた絵には、白髪で白い髭を生やした老人として神様が描かれています。

【日本の神様のイメージ】
日本人が昔から考えてきた神様とは、ご先祖様です。
人間が亡くなると祖霊になり、33回忌の弔い上げが済むと「祖霊神」になると信じられてきました。いわゆる祖霊信仰です。
先祖神・祖霊神は山中に鎮まり、盆や正月に里山に下りてきて、今生きている人たちに祝福や恵をもたらすと考えられてきました。
ですので、今に至るまで先祖の霊が祖霊となるように、供養やお祭りを行うようになりました。
そのような風習から、祖霊神は年を重ねているので老人というイメージができていったようです。

【老人そのものが神聖視された】
中世日本においては、子供は「童」と呼ばれ、まだ一人前の人間ではないとされていたのに対して、老人(翁・媼)は既に人間ではなくなった存在として扱われていました。
子どもは神仏に近い存在とされていましたが、老人も同様でした。
老人になると課役から解放されます。
生産や労働は日常なので俗(ケ)とし、非日常は聖(ハレ)という観念がありました。
老人は非日常に属しているため、聖なる存在とみなされたのです。
人の人生が短かった社会では、高齢になること自体が稀であったので、生命力と長寿に恵まれた存在、あの世に近い存在として老人は敬われたのでした。
「今昔物語」では神々は翁の姿で現れ、「春日権現記絵巻」でも神様は翁の姿で描かれています。
能の演目である「翁」は老人の姿をした神が、平和と豊穣を願う神事を行っているのです。

日本では老人は神に近しい存在とみなしてきたので、神を老人と同様にイメージしてきたようです。




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