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2023.11.28
相談員ブログ

高齢者のカサカサ肌について

【老人性乾皮症】
老人ホームで初めてシーツ交換をした時に、先輩からシーツをはたくようなことはしてはいけないと注意されました。
よく見ると、フケのような粉が沢山シーツに落ちていて、それをこぼさないように中畳みで包むようにして片づけたのでした。
そのようなことに加えて、かゆみを訴えて保湿ケアをする人が多いことに、「年を取ると皮膚に変化が起こるのかな」と思ったのでした。

乾燥肌は誰にでも起こるものです。
洗顔後や入浴後に肌のツッパリを感じる、カサカサする、粉をふいた状態になったりします。
このような状態からさらに皮膚の乾燥が進行すると、「乾皮症」になる場合があります。
乾皮症は皮膚がゴワゴワ荒れたり、ひび割れや、皮がむけるなどの症状も起こります。
乾皮症でも高齢者にみられるものを「老人性乾皮症」と呼びます。
ひざ下や太もも・腕・肩・背中・側腹部・腹部にかゆみが出ることが多くあります。
かゆみは高齢者にとって非情に頻度が高く、そして、つらい症状です。

【老人性乾皮症とは】
日本皮膚学会は高齢者の7割以上に皮膚の乾燥がみられるという報告を公表しています。
皮脂分泌量は男性が60代、女性が40~50代にかけ、急激に減少していくのです。
肌は幾層にもなって構成されていますが、表面に角質層があります。
角質層には水分を保湿するバリア機能と、潤いを保つ保湿力があります。
高齢者の場合、本来脱落する角質細胞が皮膚に残り、角質層が厚くなることが乾燥を助長させています。
その上、皮脂の量も加齢と供に減少しているのです。
高齢者の乾燥肌は、皮膚のバリア機能や保湿力が低下することで、過剰反応を起こしやすくなります。
皮膚は乾燥しカサつき、軽度では白く粉をふく程度ですが、重度化するとひび割れのようになります.
湿疹をそのままにしておくと、かゆみはますます強くなり、本人も不快感からイライラしたり、夜も眠られなくなってしまいます。
更に、かゆみが収まらず、かきむしってしまうことで「皮脂欠乏性湿疹」となってしまい、発疹やただれのような症状を起こしてしまいます。

【老人性乾皮症の対処法】
高齢者の皮膚の乾燥を防ぐには、刺激を避けることや保湿が大切です。
以下のようなことを心掛け対処していきましょう。
・室内の保湿
特に冬場は暖房により湿度が低くなるので、加湿器を稼動させ、湿度50~60%に保ちましょう。
・入浴
熱いお湯や長湯は乾燥の元です。
少しぬるめのお湯に、保湿成分が入った入浴剤を入れるのも良いです。
洗体の際も強く洗うと、必要な皮脂を落とし角質層を傷つけてしまうので注意ましょう。
石鹸なども弱酸性のものを使用するようにしましょう。
・保湿
朝と入浴後、1日2回保湿ケアすることが望ましいです。
入浴後はどんどん乾燥してしまうので、早めに保湿しましょう。
塗る時は摩擦が起きないよう優しく一方向に伸ばしましょう。
・肌に触れるものは刺激の少ない物に
ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、乾燥肌に刺激を与えるので避けましょう。
肌に触れる物は、できれば木綿やシルクなどの天然素材が望ましいです。
・食事
ビタミンAは皮膚の新陳代謝を促し、バリア機能を高めると考えられています。
レバーや乳製品、卵を摂取するよう心掛けましょう。
・こまめな水分補給
水分不足や脱水状態も皮膚乾燥の原因になるので、こまめに水分補給をしましょう。
・薬
皮膚科の受診をすると、かゆみ止めとして抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が処方されます。

【まとめ】
気温が下がり、空気が乾燥する秋から冬は、皮膚がカサついて、かゆみが出やすくなります。
かゆみが続くと、イライラしたり、眠られなくなったり、食欲や活動意欲まで低下していきます。
予防・改善するために早めに保湿ケアを始め、毎日続けるようにしましょう。
「高齢者の肌は乾いているもの」という思い込みから、老人性乾皮症に気づくことなく放置してしまうこともあります。
もし、体をよくかいていたり、シーツにフケのようなものが見られたりしたら、老人性乾皮症の可能性もあると見て医療機関に診てもらうようにしましょう。
早期発見、早期対応ができれば、本人の不快感を軽減でき、生活の質を高めることに繋がっていきます。
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