2025.01.20
相談員ブログ
血液サラサラについて
【血液サラサラとは】「血液がサラサラ」とは、血液中に糖や脂肪が過剰に含まれず、血液の本来の役割である酸素や栄養素の運搬が順調に行われている状態を指します。
血液の役割には、細菌やウイルスを除去する免疫細胞を運んだり、二酸化炭素や老廃物など不要なものを回収することも含まれます。
一方、「血液ドロドロ」な血液は糖質や脂質(中性脂肪やコレステロール)が増えている状態をいい、このような血液の状態が続くと、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増加してしまいます。
糖質を摂りすぎると、余剰分が中性脂肪に変わり、コレステロール値を高めます。その結果、血管壁に蓄積して、血管を細くしたり、血管壁を硬くしたりします。
血液がドロドロすることにより、血栓(血のかたまり)ができ、血栓症を発症するリスクが高まります。
【血栓症について】
血栓症とは、何らかの原因により血液が固まって血栓が生じ、それによって血管が詰まってしまう病気の総称です。
血栓により血管が詰まると血流が阻害され、各部位や臓器に栄養が届かなくなります。
その結果、血管の先にある細胞が死滅してしまうことがあります。
血栓症は大まかに2種類あり、動脈に血栓ができる「動脈血栓症」と、静脈に血栓ができる「静脈血栓症」です。
・動脈血栓症
血液中に脂質や糖が多いと動脈血栓症になりやすいため、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病を患っている人は動脈血栓症に注意しなければなりません。
他にも不整脈や弁膜症、血管炎、血管内皮細胞の損傷などが発生しているケースでも動脈血栓症を発症しやすくなります。
心筋梗塞や脳梗塞は、動脈血栓症によって引き起こされる代表的な病気です。
・静脈血栓症
静脈は筋肉を動かす際に起こるポンプ作用で血液が流れるようになっています。
そのため、身体の筋肉を動かさないことが静脈血栓症の原因となります。
長時間同じ姿勢でいることは、静脈血栓症を引き起こすため注意が必要です。
代表的な病気としてはエコノミークラス症候群が挙げられます。
ふくらはぎは第2の心臓といわれ、歩くことで血流を促すことができますが、長時間足を動かさないでいると血流の流れが悪くなり、静脈に血栓ができやすくなります。
足の静脈にできた血栓が肺まで移動すると、肺塞栓症になることもあります。
【血液をサラサラにする薬について】
血液をサラサラにする薬は、「抗血栓薬」と呼ばれ、血栓症の予防や再発防止のために使用され、血液を固まりにくくする薬です。
血液をサラサラにする薬には、「抗血小板薬」と「抗凝固薬」というものがあります。
[抗血小板薬]
抗血小板薬は血小板の働きを抑えることで、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈血栓症が生じるのを予防します。
血小板による血栓は、動脈で発生しやすく、特に血流が早いほど血小板の働きは活性化します。
動脈血栓症は、脳梗塞や心筋梗塞、末梢動脈血栓症などがありますが、抗血小板薬はこの動脈血栓症を予防します。
抗血小板薬には、バイアスピリン®、エフィエント®、プレタール®、シロスタゾール®などがあります。
[抗凝固薬]
抗凝固薬は、血液中の凝固因子の働きを抑制することで、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの静脈血栓症が生じるのを防ぎます。
凝固因子による血栓は、静脈で発症しやすく、血流が遅いほど凝固因子の働きが活性化しやすいのです。
不整脈で心臓の動きが悪い場合や、長時間足を動かさずにいた場合に血流が滞り、静脈血栓症を発症しやすくなります。
また、心臓の手術で人工弁を装着した人はその弁の周囲に血栓ができやすくなります。
抗凝固薬はこのような静脈血栓症を予防します。
抗凝固薬には、ワーファリン®、プラザキサ®、イグザレルト®などがあります。
【血液をサラサラにする薬の服用中に注意すべき点】
・出血に注意
抗血栓薬は血が固まりにくくなるため、出血すると止血するのが難しくなります。
その結果、怪我などをすると重症化する可能性があるため、特に注意が必要です。
別の病院や歯医者に受診する際には、医師に事前に伝えなくてはなりません。
また、抗血栓薬を服用している間は出血しやすい状態になっています。
青あざが治らない、鼻血が止まらない、便に血が混じるなど、出血が続く場合は医師や薬剤師にすぐ相談してください。
・食べ物に注意
ワーファリン®を服用している際には、ビタミンKを豊富に含む納豆、クロレラ、青汁などは避けます。
ワーファリン®はビタミンKの活性を抑制するため、ビタミンKを摂取するとその作用を弱めてしまいます。
シロスタゾール®またはプレタール®を服用している場合は、グレープフルーツを食べると薬が効き過ぎてしまい、薬が代謝されずに体内に残り続けるため、グレープフルーツジュースを含め摂取しないようにします。