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2026.04.23
相談員ブログ

高齢者の脳腫瘍は「認知症」と間違いやすい?見逃せない初期症状とサイン

【脳腫瘍とは何か:脳という「密室」にできるしこり】
脳腫瘍とは、脳本体の組織や、それを取り囲む膜、神経などに発生する腫瘍(しこり)の総称です。
一般的に腫瘍には「良性」と「悪性」があることは知られていますが、脳腫瘍においてはこの区別が他の臓器とは少し異なる意味を持ちます。
通常、良性腫瘍であれば「転移しないから比較的安全」と考えられがちです。しかし、脳は「頭蓋骨」という頑丈で一切膨らまない箱の中に収められた、いわば「逃げ道のない密室」です。そのため、たとえ性質が「良性」であっても、しこりが大きくなって脳を圧迫すれば、逃げ場のない脳組織はダメージを受け、命に関わる事態や深刻な後遺症を引き起こします。脳腫瘍においては、「良性=安心」ではなく、「良性であっても場所によっては悪性と同様に危険」という認識が不可欠なのです。
また、発生の経緯にも注意が必要です。脳自体から発生する「原発性脳腫瘍」に加え、近年高齢者に増えているのが、肺がんや乳がんなど他のがんが血流に乗って脳へやってくる「転移性脳腫瘍」です。医療の進歩でがんを持ちながら長生きできるようになった現代だからこそ、高齢者ではこの「脳への転移」を念頭に置いた観察がより重要になっています。

【よく見られる症状:脳からのSOSを見逃さない】
脳腫瘍の症状は、腫瘍ができた「場所」と、それによって高まる「脳の圧力」によって現れます。
まず、脳全体の圧力が高まる「頭蓋内圧亢進症状(とうがいないあつこうしんしょうじょう)」の代表が頭痛です。脳腫瘍の頭痛に大きな特徴があります。それは、「朝起きた時が一番痛く、日中動いているうちに少し楽になる」という傾向です。これは睡眠中に脳の圧力が高まりやすいために起こる現象で、脳腫瘍を疑う重要な手がかりとなります。また食事とは無関係に突然噴き出すように吐いてしまう「嘔吐」も、脳の圧力が限界に達しているサインです。
次に、腫瘍が特定の場所を圧迫して起こる「局所症状」です。
・運動麻痺としびれ:手足が急に動かしにくくなる、あるいは感覚が鈍くなる。
・言語障害:言葉がうまく出てこない、ろれつが回らない、相手の話が理解できない。
・視覚障害:視野の一部が欠ける、ものが二重に見える。
・けいれん:おとなになってから初めて経験する「けいれん発作」は、脳腫瘍を強く疑うサインです。
これらの症状は脳卒中でも見られますが、脳卒中が急激に起こるのに対し、脳腫瘍は「数週間から数か月にかけて、ゆっくり、しかし確実に悪化していく」のが特徴です。進行性の変化には特に警戒してください。

【高齢者で気づきにくい理由:「年のせい」に隠れた進行性の病】
高齢者の脳腫瘍が発見しにくい最大の理由は、その変化が「老化」や「認知症」の症状と非常によく似ているため、周囲が見過ごしてしまうことにあります。
・性格や意欲の変化:急に怒りっぽくなった、これまで好きだった趣味に興味を示さなくなった、一日中ぼんやりしている。これらは「前頭葉」という感情や理性を司る部位の腫瘍でよく見られますが、周囲は「年で頑固になった」「認知症かな」と思いがちです。
・歩行の変化:足の筋力が落ちた訳ではないのに、なぜかふらふらする、よく転倒する、足を引きずるように歩く。
・頭痛が目立たないこと:高齢者は脳がわずかに萎縮していることが多いため、腫瘍ができても脳内にわずかな「隙間」があります。そのため、若い人ほど急激に圧力が上がらず「激しい頭痛を訴えない」まま症状が進んでしまうことが少なくありません。
高齢者においては、痛みよりも「性格の変化」や「生活機能の急な低下」こそが、脳からのSOSである可能性が高いのです。

【診断と治療の考え方】
診断の主役は「MRI検査」です。磁石の力で脳を詳細に写し出し、腫瘍の位置や性質を特定します。
治療は手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤など)がありますが、高齢者の場合は「すべてを摘出すれば良い」とは限りません。身体に負担の大きい手術を避け、薬で脳の腫れを抑えて症状を和らげる「緩和的な治療」が最良の選択肢となることもあります。治療のゴールは完治だけでなく、ご本人がいかに穏やかに過ごせるかという「生活の質(QOL)」に置かれます。

【介護の現場で意識したいポイント】
日常を支える方々の「違和感」が早期発見の鍵となります。
1.「スピード感」を確認:「1ヶ月で急に」様子が変わった場合は、病気の可能性を疑います。
2.「認知症」と決めつけない:記憶力だけでなく、歩き方、視力の変化、性格など、全身を観察してください。
3.具体的な変化を医師に伝える:「以前と比べてここが違う」という情報は、医師にとって何よりの診断材料になります。

【まとめ】
脳腫瘍は高齢者では典型的な症状が出にくく、見逃されやすい疾患です。しかし、「なんとなくおかしい」という周囲の小さな気づきが、ご本人のその後の生活を守るための大きな第一歩となります。
「以前と何か違う」という直感を大切に、早めに専門医へ相談することを検討してください。
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