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2026.06.18
相談員ブログ

「どこに住むか」より「どう暮らすか」―データで紐解く都道府県の健康格差と、本当に大切な習慣

日本は世界有数の長寿国ですが、実はどこに住んでいても同じように長生きできるわけではありません。健康寿命や平均寿命、さらには病気のなりやすさには、都道府県ごとにハッキリとした違いがあることが知られています。
「長寿県」と呼ばれる地域がある一方で、生活習慣病が多いとされる地域もあります。こうした差は偶然ではなく、食習慣や気候、生活環境、社会的なつながりなど、さまざまな要因が関係しています。

【健康寿命とは何か】
健康寿命とは、「健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。平均寿命が単に生きる年数を表すのに対し、健康寿命は元気に暮らせる期間の目安です。
なお、日本の健康寿命は、国の大規模調査で「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか?」というアンケートに、国民がどう答えたかを基に算出されています。高齢化が進む日本では、「どれだけ長く生きるか」だけでなく、「どれだけ健康に暮らせるか」が重要視されています。

【健康寿命が長い県の特徴】
近年のデータでは、静岡県や滋賀県、福井県、山梨県、石川県などが健康寿命の上位に挙げられています。これらの地域に共通するのは、特別な健康法というよりも、以下のような生活習慣や環境です。
・喫煙率が比較的低い
・日常的に歩く習慣がある
・健診受診率が高い
・地域活動が活発
例えば静岡県では、お茶の消費量だけでなく、「お茶を飲むためにみんなで集まる」という地域の繋がりが注目されています。また滋賀県でも、地域のボランティア活動や社会参加の活発さ(つながりの濃さ)が、健康長寿を支えていると分析されています。

【長寿県の代表だった沖縄に何が起きたのか】
かつて「長寿県」といえば沖縄県が有名で、特に女性の平均寿命は長年全国トップクラスでした。しかし近年、その状況は大きく変わりました。かつて男女ともに上位だった寿命の順位、特に男性の順位が急降下し、医療・介護関係者の間でも大きな衝撃を与えたのです。
背景にあるのは、戦後の食の欧米化や外食の普及による、肥満や糖尿病の増加です。もともとの沖縄料理は野菜や海藻を多く使ったバランスのよい食文化でしたが、その特徴が薄れ、さらに車社会による運動量の低下も重なったと考えられています。この例は、生活環境の変化によって、地域の健康状態はいつでも変わりうることを示しています。

【病気の発生にも地域差がある】
病気の発症率や死亡率にも地域差がみられます。代表的な例が脳卒中です。
東北地方などでは、冬場の保存食文化などを背景に伝統的に塩分摂取量が多く、高血圧による脳卒中の死亡率が高い傾向があります。
また、過去には「ラーメン店の多い地域と脳卒中死亡率の関連」を示した研究も話題になりました。これは個人レベルで「ラーメンが直接の原因」と断定できるものではありませんが、外食を含めて塩分の多い食文化が地域に根付いている可能性を示唆しています。
このように、いわゆる「県民の遺伝的な体質」というよりも、日々の暮らしの環境が健康状態に影響しているのです。

【健康格差は医療だけでは埋められない】
健康寿命や病気の発生には、病院の多さだけでなく、日常の生活環境が深く関わっています。
・歩きやすい道路や公園がある
・地域のつながり・コミュニティがある
・健康診断を受けやすい
・新鮮な食材を手に入れやすい
これらは専門用語で「健康の社会的決定要因」と呼ばれ、個人の努力だけではどうにもならない、身の回りの環境が健康を左右するという考え方です。そのため近年は、病気になってからの「治療」だけでなく、病気にさせない「予防」や「地域づくり」の重要性が強調されています。

【長生きの秘訣は県ではなく習慣にある】
都道府県のランキングを見ると、「長寿県に住めば長生きできるのでは」と感じるかもしれません。しかし実際には、住んでいる場所そのものが寿命を決めるわけではありません。
長寿とされる地域に共通しているのは、特別な健康食品などではなく、日々のささやかな生活習慣です。適度に体を動かし、食べ過ぎ(塩分の摂りすぎ)を避け、人とのつながりを保ちながら暮らす――そうした積み重ねが、健康寿命をのばす一番の近道です。
都道府県別の健康データは、地域の違いを知るだけでなく、「自分の今の暮らし方」を少し振り返ってみる絶好のヒントになります。
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